ISO14001の「著しい環境側面」の決め方|評価基準・点数・具体例を初心者向けに解説【環境側面やさしい実務解説 第4回】

ISO14001

  1. はじめに|「何点以上なら著しいですか?」で悩んでいませんか
  2. 1. そもそも「著しい環境側面」とは?
  3. 2. 「著しい=悪いもの」ではない
  4. 3. 著しい環境側面は誰が決めるのか
    1. A社
    2. B社
  5. 4. まず押さえたい評価基準
    1. 4-1. 環境影響の大きさ
    2. 4-2. 発生する頻度・可能性
    3. 4-3. 法令・条例・協定などとの関係
    4. 4-4. 過去の事故・異常・苦情
    5. 4-5. 利害関係者からの関心
  6. 5. 点数方式は必須ではない、そして「何点以上」という共通基準もない
  7. 6. 初心者におすすめする「3段階+追加確認」の考え方
  8. 7. 具体例① 排水
  9. 8. 具体例② 電力使用
  10. 9. 具体例③ 省エネ製品というプラスの環境影響
  11. 10. 評価表でよくある5つの失敗
    1. 10-1. 点数の根拠が分からない
    2. 10-2. 合計点だけで機械的に決めている
    3. 10-3. 法令を点数の項目としてしか見ていない
    4. 10-4. 毎年同じ評価をコピーしている
    5. 10-5. 著しいと決めた後につながっていない
  12. 11. 著しい環境側面は、すべて環境目標にしなければならない?
  13. 12. 実務で使える5ステップ
    1. ステップ1|活動・製品・サービスを整理する
    2. ステップ2|環境側面と環境影響を整理する
    3. ステップ3|評価基準を決める
    4. ステップ4|基準に沿って評価する
    5. ステップ5|著しい環境側面を決定し、管理につなげる
  14. 13. 記録例|最低限ここまで残す
  15. 14. 担当者向けチェックリスト
    1. 評価前
    2. 評価基準
    3. 判定
    4. 判定後
  16. 15. よくある質問
    1. Q1. 著しい環境側面は何点以上にすればよいですか?
    2. Q2. 点数評価は必須ですか?
    3. Q3. 法令に関係する環境側面は必ず「著しい」にしますか?
    4. Q4. 著しい環境側面は毎年変えなければいけませんか?
    5. Q5. CO2は必ず著しい環境側面ですか?
    6. Q6. プラスの環境影響も著しい環境側面として扱えますか?
    7. Q7. 著しい環境側面は全部、環境目標にする必要がありますか?
  17. 16. 明日からやること
    1. ① なぜその評価項目を使っているか説明できますか?
    2. ② なぜその点数になったか説明できますか?
    3. ③ なぜそれを著しい環境側面としたか説明できますか?
  18. まとめ|大切なのは「点数」より「なぜ重要なのか」
  19. 注意すべき法令・公的情報

はじめに|「何点以上なら著しいですか?」で悩んでいませんか

ISO14001の環境側面を担当すると、比較的早い段階で出てくるのが、

「著しい環境側面は、どうやって決めればよいのでしょうか」

という疑問です。

前任者が作ったExcelを見ると、

  • 環境影響の大きさ:3点
  • 発生頻度:2点
  • 法規制:3点
  • 合計8点以上なら著しい

といった評価表が使われている会社もあるでしょう。

すると、

「なぜ8点なのか」
「7点なら重要ではないのか」
「法律に関係するものは全部3点でよいのか」

と疑問が出てきます。

先に大切なことをお伝えします。

ISO14001が、すべての会社に共通する点数や合格ラインを決めているわけではありません。

著しい環境側面は、自社が定めた基準を使って環境側面を評価し、その結果として重要だと判断したものです。

したがって大切なのは、複雑な点数表を作ることではありません。

なぜその環境側面を重要と判断したのかを、自社の事業や環境影響に照らして説明できることです。

この記事では、ISO14001を初めて担当する方に向けて、著しい環境側面をどう決めればよいのかを具体例とともに整理します。


1. そもそも「著しい環境側面」とは?

まず、「著しい環境側面」がどこに位置づけられるものかを、簡単に確認しておきましょう。

著しい環境側面は、最初から別の種類の環境側面として存在するものではありません。

自社が洗い出した環境側面を、自社の基準で評価した結果、「これは特に重要なので、きちんと管理していこう」と判断されたもの、それが著しい環境側面です。

たとえば食品工場の排水であれば、「排水」という環境側面を評価した結果、環境への影響の大きさなどから重要と判断され、さらに法令との関係なども踏まえて重点的に管理すべき対象となる場合があります。

環境側面・環境影響・管理策という3つの言葉の違いについては、「環境側面やさしい実務解説」シリーズの関連記事で詳しく解説しています。まだ整理できていない方は、先に「環境側面・環境影響・管理策の違い」をご覧いただくと今回の内容が理解しやすくなります。


2. 「著しい=悪いもの」ではない

ここは初心者が誤解しやすいところです。

「著しい環境側面」と聞くと、

  • 大量の廃棄物
  • 大気への排出
  • 排水
  • 有害な化学物質
  • CO2排出

など、環境に悪いものだけをイメージしやすいかもしれません。

しかし、環境側面を考えるときは、マイナスの環境影響だけを見るものではありません。

たとえば、

  • 消費電力を大きく減らせる省エネ製品
  • 修理しながら長期間使用できる製品
  • 再生材を利用した製品
  • リサイクルしやすい設計
  • 顧客の廃棄物削減につながるサービス

なども、事業と環境との重要な接点になる場合があります。

自社の活動・製品・サービスから重要なプラスの環境影響が生じるのであれば、それも特別扱いするのではなく、これから説明する評価の流れの中で自然に確認していきます。

「悪いものを探す表」にしてしまわないことがポイントです。


3. 著しい環境側面は誰が決めるのか

著しい環境側面は、自社が評価基準を定め、その基準を使って決定します。

そのため、

「製造業なら必ず廃棄物を著しい環境側面にする」

「CO2は必ず著しい環境側面にしなければならない」

と一律に決められるものではありません。

同じ「排水」でも会社によって状況は違います。

A社

  • 大量の工程排水が発生する
  • 排水処理設備を保有している
  • 法令・条例による排水基準が関係する
  • 過去に水質異常があった

B社

  • オフィスのみ
  • 排水は主に生活排水
  • 工程排水は発生しない

同じ「排水」という言葉でも、環境への影響や重要度は異なります。

他社の評価表をそのままコピーするのではなく、自社の活動・製品・サービスと環境との関係から判断することが大切です。


4. まず押さえたい評価基準

では、何を見て評価すればよいのでしょうか。

中小企業では、最初から10項目も20項目も評価する必要はありません。

まず大切なのは、その環境側面がどのような環境影響をもたらすのかを見ることです。そのうえで、法令との関係や過去の事故・苦情、利害関係者の関心など、自社に必要な視点を加えていくと整理しやすくなります。

4-1. 環境影響の大きさ

最も基本になる視点です。

たとえば、

  • 大気への排出
  • 排水や水質への影響
  • 廃棄物の発生
  • エネルギーや資源の使用
  • 化学物質による影響
  • 騒音・振動・臭気
  • 生態系への影響

などを確認します。

「量」だけを見るのではなく、影響の性質も考えます。

使用量が少なくても、漏えいした場合の環境影響が大きい化学物質などは注意が必要です。

4-2. 発生する頻度・可能性

毎日発生するものなのか、年に一度なのか、事故時だけなのかを確認します。

ただし、「頻度が低い=重要ではない」とは限りません。

たとえば、大規模な油の流出事故は日常的には発生しなくても、発生した場合の環境影響が非常に大きくなる可能性があります。

影響の大きさと発生する可能性を組み合わせて考えることが重要です。

4-3. 法令・条例・協定などとの関係

次に確認したいのが、順守義務(法令や条例などで守らなければならないルール)との関係です。

たとえば、

  • 排水
  • 大気への排出
  • 廃棄物処理
  • 化学物質
  • フロン
  • 騒音・振動
  • 土壌・地下水
  • 自治体との環境協定

などが該当します。

ただし、「法律に関係するものは全部自動的に著しい」としなければならない、という意味ではありません。

環境影響を基本に評価したうえで、自社の評価ルールとして法令との関係を追加的に考慮し、重要度を高く判断する仕組みにすることは考えられます。

ここで注意したいのは、環境影響から見て著しいと判断されるものを、法令対象ではないなどの理由だけで「著しくない」と格下げしないことです。

重要なのは、自社の評価基準と判定の理由を説明できることです。

4-4. 過去の事故・異常・苦情

漏えい、排水異常、悪臭苦情、騒音苦情、廃棄物の分別ミス、行政からの指摘などがあった場合は、その経験も評価に反映すると実務的です。

一度問題が起きたのに、評価表では「重要ではない」となっている場合は、評価基準が実態に合っているか確認してみましょう。

4-5. 利害関係者からの関心

地域住民、顧客、親会社、取引先などから強い関心が寄せられている環境課題もあります。

たとえば、

  • 工場周辺の騒音・臭気
  • 顧客から求められるCO2削減
  • 製品含有化学物質
  • リサイクル材の使用
  • 包装材削減

などです。

環境影響そのものを基本にしながら、自社を取り巻くこうした状況も必要に応じて考慮します。

なお、自社の事業によっては、環境影響が及ぶ範囲や継続期間、改善できる可能性などを独自の評価項目として加えることもできます。


5. 点数方式は必須ではない、そして「何点以上」という共通基準もない

環境側面評価というと、多くの会社で点数表が使われています。

たとえば次のような方法です。

評価項目1点2点3点
環境影響小さい中程度大きい
発生頻度少ない時々多い
法令等との関係なし関係あり重要な管理対象
過去の問題なし軽微事故・苦情等あり

そして合計点が一定以上なら、著しい環境側面とする方法です。

複数の環境側面を同じ物差しで比較しやすいというメリットがあります。

一方で、ここが特に重要なポイントです。

ISO14001に、「合計○点以上を著しい環境側面とする」という共通ルールがあるわけではありません。

5点でも、8点でも、10点でもよい、という単純な話でもありません。

そもそも点数計算そのものが目的になってはいけません。

「7点だから重要ではない、8点だから重要」

だけでは、本来の環境影響をうまく表せない場合があります。

重要なのは、次の4つです。

  1. 評価基準が決まっている
  2. その基準を一貫して使っている
  3. 重要な環境影響を見落とさない
  4. 判定結果を説明できる

たとえば、合計点方式だけでは重要な環境影響を適切に拾えない場合には、一定の条件に該当するものを別途確認する補助ルールを設ける方法もあります。

反対に、点数項目を増やしすぎて、誰も判定理由を説明できなくなっているなら、評価方法を簡素化した方がよい場合もあります。

点数方式は、あくまで自社で選べる方法の一つです。

ランク方式(大・中・小など)や、定性的な文章による判定など、自社で一貫して運用できる方法を考えましょう。

大切なのは方式そのものより、「なぜそう判定したか」を説明できることです。


6. 初心者におすすめする「3段階+追加確認」の考え方

初めて評価方法を作る中小企業であれば、複雑にしすぎないことをおすすめします。

まず、次のような基本項目を3段階程度で評価します。

  • 環境影響の大きさ
  • 発生頻度・可能性
  • 影響を受ける範囲

そのうえで、次の項目も追加して確認します。

  • 法令・条例・協定との関係
  • 過去の事故や苦情
  • 利害関係者の強い関心
  • 緊急時に大きな影響となる可能性

こうすることで、単純な足し算だけでは拾えない重要事項も確認できます。

ただし、これはあくまで評価方法の一例です。

自社の活動・製品・サービスや環境影響に合った方法を選びましょう。


7. 具体例① 排水

食品工場を例に考えます。

項目評価例
環境側面工程排水
環境影響水質への負荷
影響の大きさ大
発生頻度毎日
法令等排水基準等との関係あり
過去の異常BOD上昇経験あり
判定著しい環境側面
主な管理水切り、油分除去、排水処理設備点検、水質測定

この例で重要なのは、「合計○点だから著しい」という結果だけではありません。

毎日発生する工程排水で、水質への影響が大きく、法令との関係があり、過去に異常もあったため重点的に管理する

と説明できることです。


8. 具体例② 電力使用

次に、電力使用を考えます。

項目評価例
環境側面電力の使用
環境影響エネルギー資源の使用、間接的なGHG排出
影響の大きさ中~大
発生頻度毎日
その他の考慮削減余地が大きい
判定著しい環境側面
主な管理使用量監視、省エネ設備、運転条件改善

電力使用を著しい環境側面にするかどうかは、自社の規模や活動によって異なります。

製造設備の電力使用が大きい会社であれば重要度が高くなる場合があります。一方、小規模な事務所では別の環境側面の方が重要になることもあります。

この例の「削減余地」はISO14001で決められた評価項目ではなく、自社で必要に応じて追加する視点の一例です。


9. 具体例③ 省エネ製品というプラスの環境影響

今度はプラス側を見てみましょう。

省エネ型機器を開発・販売している会社を例にします。

項目評価例
環境側面省エネ性能を高めた製品の設計・提供
環境影響顧客使用段階でのエネルギー使用量・GHG排出量の低減
影響の大きさ・範囲多数の顧客に効果が及ぶ
その他の考慮製品使用期間にわたり効果が続く、改善可能性が高い
判定著しい環境側面
主な取組み省エネ設計、性能向上、顧客への情報提供

ここで、「エネルギー使用量・GHG排出量の低減」というプラスの環境影響そのものを環境側面としているわけではありません。

環境側面は「省エネ性能を高めた製品の設計・提供」であり、その結果として生じる環境の変化が「顧客使用段階でのエネルギー使用量・GHG排出量の低減」です。

著しい環境側面を「汚染を防ぐ対象」だけで考えていると、このような事業を通じたプラスの環境影響を見落とす可能性があります。

環境側面評価を、自社の環境上の強みを見つける機会として使うこともできます。


10. 評価表でよくある5つの失敗

10-1. 点数の根拠が分からない

「3・2・1」と数字は並んでいるものの、「大・中・小」の判断基準がないケースです。

担当者によって評価が変わってしまいます。

可能な範囲で、年間使用量、年間排出量、基準値との関係、発生回数、影響範囲など、判断の目安を決めておきましょう。

10-2. 合計点だけで機械的に決めている

環境への影響が大きいのに、他の項目が低いため基準点未満になることがあります。

特に、環境影響から見て著しいと判断されるものを、他の評価項目によって機械的に「著しくない」としてしまわないよう注意が必要です。

単純な合計点だけでは重要なものを拾えない場合には、別途確認する仕組みを設ける方法があります。

10-3. 法令を点数の項目としてしか見ていない

「法律あり=3点」と入力して終わりではなく、

  • どの法令なのか
  • 何を管理する必要があるのか
  • どんな記録が必要なのか

まで運用につなげることが大切です。

10-4. 毎年同じ評価をコピーしている

事業は変化します。

新設備、新製品、新材料、生産量の増減、外注化、委託先変更、法令改正、顧客要求、環境事故などがあれば、評価結果が変わる可能性があります。

設備・工程・材料などが変わったときの確認方法については、「ISO14001:2026の変更管理」の記事でも詳しく解説しています。

前年のExcelをコピーするだけではなく、「今年、何が変わったか」を確認しましょう。

10-5. 著しいと決めた後につながっていない

最も避けたいのは、著しい環境側面を決めて終わりになることです。

著しいと判断した環境側面は、その後の運用管理、環境目標、監視・測定、教育などと関係してきます。

「なぜ重要なのか」
「どう管理するのか」
「何を確認するのか」

まで一本につなげることが大切です。


11. 著しい環境側面は、すべて環境目標にしなければならない?

ここもよくある誤解です。

著しい環境側面として決定したからといって、すべてについて毎年個別の環境目標を設定しなければならない、と単純に考える必要はありません。

たとえば、排水が著しい環境側面でも、

  • 日常点検
  • 排水処理設備の運転管理
  • 定期的な水質測定
  • 法令基準の管理

などによって管理している場合があります。

一方、省エネや廃棄物削減など、さらに改善を進めたいテーマについては、環境目標につなげることが考えられます。

ただし、「すべてを目標にする必要はない」ということと、「環境目標を考えるときに著しい環境側面を考慮しなくてよい」ということは別です。

環境目標を設定するときには、自社の著しい環境側面との関係も確認しましょう。

著しい環境側面を、

「全部を目標にするリスト」ではなく、「重点的に管理し、改善の必要性を考える対象」

として理解すると分かりやすくなります。

環境目標への具体的なつなげ方は、別の記事で詳しく解説します。


12. 実務で使える5ステップ

著しい環境側面の決定は、次の順番で進めると整理しやすくなります。

ステップ1|活動・製品・サービスを整理する

製造、洗浄、物流、購買、製品設計、サービス提供など、自社の活動を整理します。

ステップ2|環境側面と環境影響を整理する

電力使用、排水、廃棄物、化学物質、製品の省エネ性能など、環境との接点を洗い出します。

ステップ3|評価基準を決める

まず環境影響をどのように評価するかを決めます。

そのうえで、必要に応じて発生頻度、法令との関係、事故・苦情、利害関係者の関心など、自社で使う評価項目を整理します。

ステップ4|基準に沿って評価する

同じ基準を使い、環境側面を評価します。

点数方式を使う場合も、点数だけを見ず、重要な環境影響が漏れていないか確認します。

ステップ5|著しい環境側面を決定し、管理につなげる

判定結果と理由を残します。

そのうえで、運用管理、監視・測定、教育、環境目標などとの関係を確認します。


13. 記録例|最低限ここまで残す

中小企業であれば、必要以上に複雑な評価表を作る必要はありません。

たとえば次のような項目があれば、評価の流れを整理しやすくなります。

活動環境側面環境影響影響度頻度法令等その他の考慮判定主な管理
洗浄排水水質への負荷33あり過去異常あり著しい水質測定・設備点検
製造電力使用資源使用・GHG排出33―削減余地大著しい使用量監視・省エネ
事務コピー用紙資源使用・廃棄物12――通常購入量管理
製品設計省エネ設計使用時のエネルギー削減33―顧客への効果大著しい設計基準・性能確認

この表はあくまで一例です。

大切なのは、この様式をそのままコピーすることではなく、自社で判断しやすい形にすることです。


14. 担当者向けチェックリスト

評価前

  • 自社の活動・製品・サービスを確認した
  • 環境側面と環境影響を分けて整理した
  • 通常時だけでなく、異常時・緊急時も確認した
  • マイナスだけでなくプラスの環境影響も確認した
  • ライフサイクルの視点から必要な範囲を確認した

評価基準

  • 環境影響の大きさを評価できる
  • 発生頻度・可能性を評価できる
  • 法令・条例・協定との関係を確認できる
  • 過去の事故・異常・苦情を反映できる
  • 必要に応じて利害関係者の関心を考慮できる
  • 評価基準の意味を担当者が説明できる

判定

  • 「○点以上」としている場合、その根拠を説明できる
  • 点数だけで重要な環境影響を落としていない
  • 環境影響から著しいものを他の基準で格下げしていない
  • 判定理由を記録している
  • 前年からの変更点を確認した
  • 著しい環境側面が自社の実態と合っている

判定後

  • 必要な運用管理につながっている
  • 必要な監視・測定につながっている
  • 必要な教育・周知につながっている
  • 環境目標との関係を検討した
  • 設備・工程・材料等の変更時に見直す仕組みがある

15. よくある質問

Q1. 著しい環境側面は何点以上にすればよいですか?

ISO14001に国際的に共通する点数や基準点が決められているわけではありません。

自社で評価基準を決め、一貫して使用し、重要な環境影響を適切に判定できる仕組みにすることが大切です。

Q2. 点数評価は必須ですか?

必須ではありません。

点数方式は比較しやすい便利な方法ですが、ランク方式や定性的な判定など、自社で一貫して運用できる方法を検討できます。

Q3. 法令に関係する環境側面は必ず「著しい」にしますか?

一律にそうしなければならないという意味ではありません。

ただし、法令・条例・協定などとの関係は重要な判断材料です。

まず環境への影響を確認したうえで、自社の評価ルールとして法令との関係を追加的に考慮する方法があります。

Q4. 著しい環境側面は毎年変えなければいけませんか?

変えること自体が目的ではありません。

事業、設備、材料、法令、顧客要求、事故などに変化がなければ、結果が前年と同じこともあります。

大切なのは「前年と同じだからコピー」ではなく、変更の有無を確認したうえで評価することです。

Q5. CO2は必ず著しい環境側面ですか?

一律に決められるものではありません。

自社の活動、エネルギー使用状況、それによる環境影響などを自社の評価基準に沿って確認します。

「最近重要だから自動的に著しい」とするのではなく、なぜ重要なのかを説明できるようにしましょう。

Q6. プラスの環境影響も著しい環境側面として扱えますか?

環境影響は、マイナスの変化だけに限られません。

省エネ製品、リサイクルしやすい設計、製品の長寿命化、環境配慮サービスなど、自社の活動・製品・サービスからプラスの環境影響が生じる場合も、通常の環境側面評価の中で確認します。

ただし、「プラスの環境影響」そのものが環境側面なのではありません。

たとえば、省エネ性能を高めた製品の設計・提供が環境側面であり、その結果として生じるエネルギー使用量の低減などが環境影響です。

Q7. 著しい環境側面は全部、環境目標にする必要がありますか?

すべてを毎年個別の環境目標にしなければならない、と単純に考える必要はありません。

重要なのは、著しい環境側面を適切に管理し、必要な取組みにつなげることです。

ただし、環境目標を設定するときには、著しい環境側面との関係も確認しましょう。


16. 明日からやること

この記事を読んだあと、まず現在使っている環境側面評価表を開いてみてください。

そして、次の3つだけ確認してみましょう。

① なぜその評価項目を使っているか説明できますか?

「昔からこの表だから」になっていないでしょうか。

② なぜその点数になったか説明できますか?

「大・中・小」の判断基準が担当者の感覚だけになっていないでしょうか。

③ なぜそれを著しい環境側面としたか説明できますか?

この3つに答えられれば、評価表はかなり実務に近づいています。

答えられなければ、評価表を全面的に作り直す必要はありません。

まずは、環境影響をどのように評価しているのか、判断基準と判定理由を書き足すところから始めてみてください。


まとめ|大切なのは「点数」より「なぜ重要なのか」

著しい環境側面の決定で大切なのは、複雑な点数計算ではありません。

環境側面を洗い出し、

環境への影響を見る
→ 自社の基準で評価する
→ 著しい環境側面を決める
→ 理由を説明できるようにする
→ 管理・改善につなげる

という流れを作ることです。

特に初心者の担当者は、「何点以上なら正解なのか」を探してしまいがちです。

しかし、会社ごとに事業内容も環境影響も異なります。

自社の実態に合った、シンプルで説明できる評価方法を作る方が、ISO14001を実際の環境管理に活かしやすくなります。

前任者のExcelを毎年コピーするだけになっている場合は、今年の環境側面評価を行う前に、

「この評価基準は、環境への影響をどのように判断するためのものか」

を一度確認してみてください。

それが、著しい環境側面の見直しの第一歩です。


注意すべき法令・公的情報

著しい環境側面の評価では、自社の環境影響だけでなく、活動に関係する法令・条例・協定なども確認する必要があります。

たとえば、次のようなものがあります。

  • 廃棄物処理法
  • 水質汚濁防止法
  • 下水道法
  • 大気汚染防止法
  • 騒音規制法
  • 振動規制法
  • 悪臭防止法
  • フロン排出抑制法
  • 化管法(PRTR制度)
  • 省エネ法
  • 自治体条例
  • 自治体・地域との環境協定

ただし、これらすべてが自社に適用されるという意味ではありません。

どの法令が適用されるかは、業種、設備、規模、使用物質、所在地などによって異なります。

実務では、環境省、経済産業省、自治体などの最新情報を確認し、判断が難しい場合は行政窓口や専門家などへ確認してください。

また、ISO14001:2026への移行対応については、正式な規格、ISO・JIS関連情報、認証機関からの最新案内もあわせて確認してください。

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