- はじめに|生理休暇の申請がない職場は、本当に問題がないのでしょうか
- 1. ISO 45010とは?|月経・更年期を「職場の課題」として考えるガイダンス
- 2. 日本の生理休暇|法律で決まっていること・会社が決めること
- 3. 最新データで見る生理休暇|「利用者が少ない=問題がない」とは限らない
- 4. 生理休暇を使いにくくしている4つの要因
- 5. 管理職研修は「疑似体験」で終わらせない
- 6. 女性の健康支援は「福利厚生だけ」の話ではない
- 7. ISO45001を運用している会社は、既存の仕組みを活用できる
- 8. 企業が確認したい6つのポイント
- 9. 明日からできる3つのステップ
- 10. 社内点検チェックリスト
- 11. よくある質問
- まとめ|目指したいのは「取得率が高い会社」ではなく「必要なときに使える会社」
- 注意すべき法令・公的情報
はじめに|生理休暇の申請がない職場は、本当に問題がないのでしょうか
2026年9月7日、ISOから「ISO 45010:2026 Occupational health and safety management — Menstruation and menopause in the workplace — Guidance」が正式に発行されました。
月経や更年期に関して、職場でどのような方針や仕組みを整え、どのような支援を行うかを示した国際的なガイダンスです。企業規模や業種を問わず活用でき、既存の労働安全衛生マネジメントの仕組みを補完するものと説明されています。
ただし、ISO 45010が発行されたから、日本企業に新しく「生理休暇を設ける義務」が生まれたわけではありません。
日本には以前から、労働基準法第68条にもとづく生理休暇があります。
この記事で考えたいのは、制度があるかどうかではありません。
「生理日の就業が難しいほどつらいとき、実際にその制度を使える職場になっているか」
という点です。
私自身、管理職として勤務していた時期、生理休暇の申請を目にすることはほとんどありませんでした。
「制度がある以上、必要な人は必要なときに申請するだろう」
管理する側として、どこかでそう考えていたと思います。
しかしその後、女性の話を聞いたり、生理痛の疑似体験に関する事例を知ったりする中で、考え方が変わりました。
症状があっても、
- 上司に言いにくい
- 周囲に迷惑をかけたくない
- この程度で休んでよいのだろうか
- 休むと給与が減ってしまう
と考え、仕事を続けている人もいます。
もちろん、これは私が見聞きした範囲の経験であり、すべての女性や職場に当てはまるものではありません。
それでも、管理職の手元に届く申請件数だけを見て、
「申請がない=困っている人はいない」
と考えてよいのでしょうか。
ISO 45010の発行は、この問いを改めて考える一つのきっかけになります。
1. ISO 45010とは?|月経・更年期を「職場の課題」として考えるガイダンス
ISO 45010はどのような規格か
ISO 45010は、月経、月経に関連する健康課題、更年期について、職場でどのように支援するかを示した国際規格です。
ISO公式では、職場の方針や慣行、実際の調整方法などを通じて、働く人が直面する障壁やスティグマ、つまり偏見や負のイメージを減らすためのガイダンスと説明されています。
ISO 45001のように「満たさなければならない要求事項」を示す規格とは性格が異なります。
また、ISO 45010は日本の法律ではありません。
| よくある誤解 | 実際の位置づけ |
|---|---|
| ISO45001と同じような認証要求事項である | 職場での対応を示すガイダンス規格 |
| 日本企業は新しい休暇制度を作らなければならない | 日本に新たな法的義務を課すものではない |
| 医療上の判断基準を示す規格である | 職場の方針・慣行・調整を扱い、医療的な助言は扱わない |
ISO公式も、ISO 45010は医療的な助言や職場外の治療選択肢を示す規格ではないと明記しています。
では、なぜ日本企業が注目する意味があるのでしょうか。
ポイントは、月経や更年期を本人だけの問題ではなく、
職場環境や働き方との関係から考える視点
を国際的なガイダンスとして整理したことです。
ISOは、ISO 45010について、組織の規模や業種に応じて活用でき、中小規模の組織でも利用できる対応方法が含まれていると説明しています。
この記事では、ISO 45010が扱うテーマのうち、日本にすでに法制度がある「生理休暇」の実際の使いやすさに焦点を当てます。
2. 日本の生理休暇|法律で決まっていること・会社が決めること
労働基準法第68条の基本
労働基準法第68条では、
生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない
とされています。
企業がまず押さえておきたいポイントは、次のとおりです。
| 確認項目 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 対象 | 生理日の就業が著しく困難な場合 |
| 取得単位 | 1日だけでなく、半日・時間単位でも可能 |
| 休暇日数 | 就業規則などで一律に限定することはできない |
| 給与 | 法律上、有給は義務ではなく、有給・無給は会社の定めによる |
| 証明 | 原則として特別な証明がなくても請求できる考え方が示されている |
厚生労働省は、半日・時間単位で取得できること、日数を就業規則で限定できないこと、有給・無給は会社の定めによることを案内しています。
「休暇の日数」と「有給の日数」は別に考える
ここは実務で混同しやすいポイントです。
厚生労働省の解釈例規をまとめた資料では、生理休暇そのものの日数を「1日まで」「3日まで」と限定することはできないとされています。
一方で、
有給にする日数だけを限定することは可能
とされています。
例えば、
「月1日までは有給、それを超える部分は無給」
とする仕組みは考えられます。
ただし、この場合でも、休暇そのものを「月1日まで」に制限することはできません。
診断書を必ず求める必要はない
もう一つ、担当者が確認しておきたいのが証明の扱いです。
厚生労働省資料では、手続きを複雑にすると制度そのものが利用されなくなるおそれがあるため、原則として特別な証明がなくても請求があれば生理休暇を与える考え方が示されています。
特に証明を求める必要がある場合でも、医師の診断書のような厳格なものではなく、事実を推測できる程度の簡易な証明でよいとされています。
もちろん、単に生理であることだけを理由にする制度ではなく、「生理日の就業が著しく困難」であることが前提です。
「規定があるか」だけでなく「運用」を見る
就業規則に生理休暇が書いてあることは大切です。
しかし、企業が確認したいのはそれだけではありません。
- どのように申請するのか
- 誰に伝えるのか
- 給与はどう扱われるのか
- 半日・時間単位で利用できるのか
- 診断書を当然のように要求していないか
- 休暇の種類が必要以上に周囲へ知られないか
まで確認して、初めて実際の「使いやすさ」が見えてきます。
3. 最新データで見る生理休暇|「利用者が少ない=問題がない」とは限らない
厚生労働省は2026年7月31日、令和7年度雇用均等基本調査を公表しました。
調査では、2024年4月1日から2025年3月31日までの間について、
- 女性労働者のうち、生理休暇を請求した人:1.1%
- 女性労働者がいる事業所のうち、請求者がいた事業所:4.9%
でした。
令和2年度調査の0.9%、3.3%からは増えています。
ただし、この数字の読み方には注意が必要です。
1.1%の分母は「すべての女性労働者」
1.1%とは、
「休暇が必要なほど症状が重かった女性のうち1.1%しか取得しなかった」
という意味ではありません。
すべての女性労働者を分母にした請求者割合です。
そのため、この数字だけから、本当に休暇を必要とした人のうち何割が利用できたのかは分かりません。
「使いにくさ」が取得件数には表れない
厚生労働省の資料で紹介されている調査では、生理休暇を利用しにくい理由として、
- 男性上司に申請しにくい:61.8%
- 利用している人が少なく申請しにくい:50.5%
- 休んで迷惑をかけたくない:36.2%
- 男性の同僚の目が気になる:25.5%
などが挙げられています。これは厚生労働省自身の雇用均等基本調査ではなく、厚生労働省資料が引用している日経BPの2021年調査です。
厚生労働省も、生理休暇が整備されていても、男性上司等に相談しづらいこと、利用者が少ないこと、同僚の目が気になることなどから、取得をためらう状況があると説明しています。
つまり、
「取得件数が少ない=問題がない」
とは単純には判断できません。
企業としては件数だけでなく、
- 従業員が制度を知っているか
- 必要なときに利用できると思っているか
- 誰に相談すればよいか知っているか
- 利用すると不利益があると感じていないか
- 必要な支援を実際に受けられたか
も見ていく必要があります。
4. 生理休暇を使いにくくしている4つの要因
4-1. 上司に生理であることを伝えにくい
生理や月経に伴う症状は、職場では話しにくい健康上の情報です。
直属上司に詳しい症状まで説明しなければ休めない仕組みであれば、申請をためらう人がいても不思議ではありません。
厚生労働省も、男性上司等への相談のしづらさや、周囲の目などを生理休暇を利用しにくい背景として挙げています。
企業では、次のような点を確認しておきたいところです。
- 申請時に必要以上の説明を求めていないか
- 誰が申請内容を見ることができるか
- 直属上司以外にも相談できるルートがあるか
- 勤怠システム上、休暇の種類が必要以上に周囲へ表示されないか
重要なのは、必要な手続きを行いながらも、健康上の情報を必要以上に広げないことです。
4-2. 「休むと周囲に迷惑をかける」と感じる
少人数の職場や、業務が特定の人に集中している職場では、一人が急に休むことで仕事が回りにくくなることがあります。
この場合、
「休みにくい本人の意識を変えればよい」
という問題ではありません。
業務の仕組みそのものを確認する必要があります。
- 業務が一人に集中していないか
- 急な休みの代理対応が決まっているか
- 引継ぎ方法が共有されているか
- 本人が代わりの人を自分で探す仕組みになっていないか
を確認しましょう。
急な休暇に対応できる仕組みは、生理休暇だけではなく、病気、育児、介護などにも強い職場づくりにつながります。
4-3. 無給による経済的負担がある
法律上、生理休暇を有給にする義務はありません。
令和7年度雇用均等基本調査では、生理休暇中の賃金を「有給」とする事業所は31.0%、無給は67.4%でした。
「法律上問題がないこと」と「制度を利用しやすいこと」は、同じではありません。
企業としては、
- 現在は有給か無給か
- 従業員がその扱いを知っているか
- 一定範囲を有給とする選択肢はないか
- 他の健康関連休暇と組み合わせられないか
などを検討できます。
ただし、有給化は法定義務ではなく、企業独自の上乗せ施策です。
また、有給の日数を限定する場合でも、生理休暇そのものの日数をその範囲に限定しないよう注意が必要です。
4-4. 管理職がどう対応すればよいか分からない
部下から、
「生理痛がひどく、今日は仕事が難しいです」
と言われたとき、どう答えればよいか戸惑う管理職もいるでしょう。
管理職が症状の重さを医学的に判断する必要はありません。
必要なのは、
- 申請をどのように受けるか
- 必要以上に詳しい説明を求めない
- 業務をどう調整するか
- 周囲へ何を伝えるか
- 必要に応じて人事や産業保健スタッフにつなぐ
といった、管理職としての基本的な対応を決めておくことです。
管理職の対応例
| 望ましい対応の例 | 避けたい対応の例 |
|---|---|
| 「連絡ありがとうございます。必要な時間・範囲で休んでください」 | 「どのくらい痛いの?」と必要以上に症状を聞く |
| 「急ぎの業務があれば一言だけ教えてください。割り振りはこちらで対応します」 | 「代わりにやってくれる人を探してください」 |
| 周囲には「本日はお休みです」と必要な範囲だけ伝える | 本人の了解なく休暇理由を同僚へ説明する |
| 必要に応じて人事等の相談先を案内する | 「先月も休んだよね」など、取得をためらわせる言い方をする |
自社の就業規則、勤怠制度、管理職の権限に合わせて具体的な対応方法を決めておくと安心です。
5. 管理職研修は「疑似体験」で終わらせない
近年、生理痛を疑似体験する研修も行われています。
例えば東北電力では、2025年9月11日に生理痛の疑似体験会を開催しています。体験した男性管理職からは、休暇申請があった場合には理解を持って業務調整をしたいという趣旨の感想も公表されています。
こうした研修は、
「この状態で会議を続けるとどう感じるか」
「立ち仕事や接客を続けるのはどうか」
を考えるきっかけになります。
一方、疑似体験装置が、すべての人の実際の症状をそのまま再現するわけではありません。
症状には大きな個人差があります。
そのため、
「一度痛みを体験したから、女性の気持ちが分かった」
で終わらせないことが大切です。
研修を行うのであれば、後半で、
- 部下から休暇の相談を受けたらどう答えるか
- 業務をどう調整するか
- 周囲にはどう伝えるか
- 必要以上に症状を聞いていないか
といったロールプレイを行う方が、実際の職場改善につながりやすくなります。
体験はゴールではなく、行動を変えるきっかけの一つと考えましょう。
6. 女性の健康支援は「福利厚生だけ」の話ではない
経営上の課題として考える
経済産業省は、女性特有の健康課題について、業務効率や就業継続にも大きな影響を与えるテーマであり、経営者が理解し、職場環境を整えることが重要としています。
経済産業省が2024年に公表した試算では、月経随伴症による社会全体の経済損失は年間約0.6兆円とされています。
内訳では、
- 欠勤による損失:約1,200億円
- 出勤していても十分なパフォーマンスを発揮しにくいことによる損失:約4,500億円
などから、労働生産性損失は約5,700億円と試算されています。
これは社会全体を対象に一定の前提で算出された試算であり、個々の会社で同じ損失が発生するという意味ではありません。
それでも、月経に伴う健康課題を本人だけの問題として扱わず、職場環境との関係で考える材料にはなります。
大企業で考えたいこと
大企業では、
- 女性活躍
- 健康経営
- 人的資本
- 人材定着
などの施策とどうつながっているかを整理することが考えられます。
女性管理職比率などの数値も重要ですが、それだけでは、
「健康上つらいときに相談できる職場か」
までは分かりません。
制度と実際の職場環境を両方見る必要があります。
なお、ISO 45010への対応が特定のESG評価で必ず加点される、あるいは新しい情報開示義務になる、といったことは現時点で確認されていません。
中小企業で考えたいこと
中小企業の場合は、より直接的な課題があります。
一人が働き続けられなくなることが、人員配置や技能継承に大きな影響を与える場合があるためです。
一方で、大掛かりな制度を一度に作る必要はありません。
ISOも、ISO 45010について、小規模な組織でも自社の状況や利用できる資源に合わせて対応できると説明しています。
まずは、
- 申請方法が分かる
- 相談先が分かる
- 必要以上に理由を聞かれない
- 急な休みに対応できる
- 管理職が基本的な対応を知っている
というところから始められます。
2026年5月には、経済産業省から企業・自治体向けの「女性の健康課題の解決に向けたフェムテック導入ガイダンス」も公表されています。自社に適した支援策を検討する際の参考になります。
7. ISO45001を運用している会社は、既存の仕組みを活用できる
ISO45001認証企業だからといって、ISO45010への対応が義務になるわけではありません。
ただし、ISOはISO45010について、ISO45001を含む既存の労働安全衛生マネジメントを補完するものと説明しています。
既存の仕組みを、例えば次のように活用できます。
| ISO45001の仕組み | 生理・女性の健康支援での活用例 |
|---|---|
| 働く人の協議及び参加 | 制度の使いにくさや必要な支援について意見を聞く |
| リスク及び機会 | 健康上の負担や就業継続上の課題を確認する |
| 力量・認識・コミュニケーション | 管理職教育や制度周知を行う |
| 運用管理 | 休暇、業務調整、相談対応を仕組みにする |
| パフォーマンス評価 | 制度が実際に役立っているかを確認する |
| 改善 | 職場の意見をもとに運用を見直す |
例えば、
- 安全衛生委員会で制度の周知状況を確認する
- 従業員アンケートで相談のしやすさを聞く
- 管理職研修に対応例を入れる
- 内部監査で人事制度と実際の運用に差がないか確認する
といった方法があります。
新しいISO文書を大量に作るのではなく、すでにある安全衛生・人事・健康管理の仕組みで確認する方が実務的です。
なお、2026年9月27日時点の現行規格はISO45001:2018であり、次版のISO/DIS 45001は改訂作業中です。ISOによると次版は2027年前半の発行が見込まれています。本記事の箇条との対応は、現行の2018年版を前提にしています。
8. 企業が確認したい6つのポイント
| # | 確認ポイント | 主な確認内容 |
|---|---|---|
| 1 | 制度を正しく運用できているか | 日数を一律に制限していないか、半日・時間単位に対応しているか |
| 2 | 申請しやすい方法になっているか | 直属上司への詳細な口頭説明だけになっていないか、相談ルートがあるか |
| 3 | 給与の扱いが明確か | 有給・無給を従業員が理解しているか、有給化を検討する余地はあるか |
| 4 | 急な休暇・休憩に対応できるか | 業務の属人化、引継ぎ、代理対応を確認しているか |
| 5 | 管理職に対応方法を伝えているか | 休暇の受け方、業務調整、情報共有の範囲を決めているか |
| 6 | 取得件数だけで評価していないか | 制度認知度、相談しやすさ、必要時に使えると感じるかを確認しているか |
共通する判断軸は、
「必要な人が、必要なときに、必要な支援を受けられたか」
です。
9. 明日からできる3つのステップ
ステップ1|就業規則と勤怠システムを確認する
まず、生理休暇の規定を実際に開いて確認します。
- 休暇日数を一律に限定していないか
- 半日・時間単位に対応しているか
- 有給・無給が分かるか
- 有給日数と休暇日数を混同していないか
- 診断書を当然の条件にしていないか
- 勤怠画面で休暇理由が不必要に見えないか
ここまでなら、大掛かりなプロジェクトを立ち上げなくても始められます。
ステップ2|管理職に「受け方」を共有する
長い研修でなくても構いません。
管理職会議などで、
「必要な時間休んでください」
「業務の割り振りはこちらで対応します」
「周囲には休暇理由を伝えません」
といった基本対応を共有します。
ステップ3|従業員の声を聞く
取得件数だけで判断せず、
- 制度を知っているか
- 申請方法を知っているか
- 必要なときに利用できると思うか
- 相談しにくい理由はないか
を匿名アンケートなどで確認します。
制度と実態の差を知ることが、改善の出発点になります。
10. 社内点検チェックリスト
制度・法令
- 労働基準法第68条の基本を人事担当者が理解している
- 生理休暇の日数を一律に制限していない
- 半日・時間単位の請求に対応できる
- 有給・無給の扱いが明確になっている
- 有給日数と休暇そのものの日数を区別している
- 診断書を一律の必須条件としていない
- 精皆勤手当、賞与、昇給等の取扱いが、制度利用を過度にためらわせる運用になっていないか確認している
申請・相談
- 従業員が申請方法を知っている
- 直属上司以外にも相談できる方法がある
- 必要以上に詳しい健康情報を求めていない
- 申請内容を知る人の範囲を整理している
- 勤怠システムなどで不必要に情報が広がらない
管理職
- 管理職が生理休暇制度を理解している
- 申請を受けたときの基本対応を決めている
- 不要な詮索や否定的な発言を避けるよう伝えている
- 急な休暇時の業務調整方法を決めている
- 休む本人に代替要員探しを任せる運用になっていない
職場運用
- 休んだ人の業務を代替できる
- 特定の従業員に業務が属人化しすぎていない
- 必要に応じて短時間の休憩を取れる
- トイレ、更衣、温度などの職場環境も必要に応じて確認している
効果確認
- 生理休暇の件数だけを成果指標にしていない
- 制度の認知度を確認している
- 相談のしやすさを確認している
- 働く人の意見を聞いている
- 必要な支援を受けられたか確認している
- 必要に応じて制度や運用を見直している
11. よくある質問
Q1. ISO45010は、日本企業が必ず対応しなければならない規格ですか?
いいえ。
ISO45010は、職場における月経・更年期の支援についてのガイダンスです。日本企業に新しい法的義務を課すものではありません。
ただし、自社の職場環境や健康支援を見直すための参考として活用できます。
Q2. ISO45001認証企業は、ISO45010にも対応しなければなりませんか?
ISO45010が発行されたことだけを理由に、新たなISO45001認証要求が追加されたわけではありません。
一方、ISOはISO45010について、ISO45001など既存の労働安全衛生マネジメントを補完すると説明しています。
既存の働く人の参加、教育、運用、評価、改善などの仕組みを活用して確認することはできます。
Q3. 生理休暇は有給にしなければなりませんか?
いいえ。
労働基準法上、生理休暇を有給にすることは義務づけられていません。賃金の扱いは会社の定めによります。
なお、令和7年度雇用均等基本調査では、生理休暇中を有給とする事業所は31.0%でした。
Q4. 生理休暇は1日単位でなければなりませんか?
いいえ。
半日・時間単位でも請求できます。
症状や働き方には個人差があるため、実際に利用できる運用になっているか確認しましょう。
Q5. 生理休暇を申請するときに診断書は必要ですか?
原則として、医師の診断書のような特別な証明を一律に求める必要はないという行政解釈が示されています。
証明を求める必要がある場合も、制度の趣旨を踏まえ、厳格な証明ではなく事実を推測できる程度の簡易な方法でよいとされています。
Q6. 生理休暇を有給にする日数を「月1日まで」と決めてもよいですか?
有給にする日数だけを限定することは可能とされています。
ただし、生理休暇そのものを「月1日まで」と限定することはできません。
例えば「1日までは有給、必要な休暇がそれを超えた部分は無給」という区別はできますが、「1日を超えたら生理休暇を認めない」という運用にはできません。
Q7. 生理休暇を利用する人がいなければ、特に対応しなくてもよいでしょうか?
利用者がいないという事実だけでは、
「必要な人がいない」のか、
「必要でも使えていない」のか、
を判断できません。
取得件数に加え、制度認知度、相談のしやすさ、必要なときに使えると感じているかなども確認するとよいでしょう。
Q8. 生理痛の疑似体験研修を行えば十分ですか?
疑似体験は、症状を想像するきっかけの一つです。
ただし、症状には大きな個人差があります。
体験だけで終わらせず、
- 管理職の対応
- 申請方法
- 業務調整
- 情報共有の範囲
など、実際の職場運用につなげることが重要です。
まとめ|目指したいのは「取得率が高い会社」ではなく「必要なときに使える会社」
ISO45010の発行によって、月経や更年期を職場の健康課題として考えるための国際的なガイダンスが一つ増えました。
しかし、日本企業にとって大切なのは、新しいISOが出るたびに新しい制度を作ることではありません。
生理休暇については、日本にはすでに法定制度があります。
だからこそ、今確認したいのは、
制度が「ある」かではなく、制度が「働いている」か
という点です。
生理休暇の申請がゼロでも、それだけで安心はできません。
反対に、取得件数を増やすこと自体を目標にする必要もありません。
目指したいのは、
健康上つらいときに無理をせず、必要な支援を選ぶことができ、そのことを理由に働き続けることを諦めなくてよい職場
ではないでしょうか。
女性活躍というと、管理職比率や採用人数など、目に見える数字に注目しがちです。
それと同時に、日々の職場で一人ひとりが健康上の事情を抱えながらも働き続けられる環境があるか。
ISO45010を、そのことを改めて考えるきっかけにしてみてください。
まずは、自社の就業規則を開き、
「生理休暇は、必要な人が必要なときに本当に使える仕組みになっているか」
を確認するところから始めてみましょう。
注意すべき法令・公的情報
労働基準法第68条
生理日の就業が著しく困難な女性から休暇の請求があった場合の使用者の義務を定めています。
厚生労働省「労働基準法」
厚生労働省「特集 働く女性と生理休暇」
時間単位・半日単位、日数制限、有給・無給などを初心者にも分かりやすく確認できます。
働く女性の心とからだの応援サイト「働く女性と生理休暇」
令和7年度雇用均等基本調査
2026年7月31日公表。生理休暇の請求状況や賃金の取扱いについて、現時点での最新公的統計として確認できます。
ISO45010:2026
2026年9月7日正式発行。職場における月経・更年期支援を扱うガイダンスです。ISOのOnline Browsing Platformでは全文を閲覧専用で無償確認でき、PDF・印刷版は有償です。
ISO45010:2026 公式ページ
経済産業省「女性の健康の取組について」
女性特有の健康課題と業務効率、就業継続、健康経営との関係を確認できます。
経済産業省「女性の健康の取組について」
経済産業省「企業・自治体等向け 女性の健康課題の解決に向けたフェムテック導入ガイダンス」
2026年5月27日公表。女性の健康課題への対応策を検討する際の最新の公的参考資料の一つです。


コメント