ISO14001の環境側面・環境影響・管理策の違い|「環境との接点」も具体例で解説【環境側面やさしい実務解説 第3回】

ISO14001
  1. はじめに|「環境との接点」を、もう少し具体的に見てみましょう
  2. 1. 「環境との接点」は3方向から探すと見つけやすい
  3. 2. 「環境側面=環境に悪いこと」ではない
  4. 3. 環境側面とは?|環境に関わる「もの・こと」
  5. 4. 環境影響とは?|その結果「環境がどう変わるか」
  6. 5. 管理策とは?|会社として「何をするか」
  7. 6. 「活動→環境側面→環境影響→管理策」を一本につなげてみる
  8. 7. 初心者が迷いやすい例|これは側面?影響?管理策?
    1. 「節電」はどれ?
    2. 「分別」はどれ?
    3. 「漏えい」はどれ?
    4. 「省エネ製品」はどれ?
  9. 8. 排水とBODも同じ流れで考えられる
  10. 9. 環境側面と「現場の管理上の問題」を混ぜすぎない
  11. 10. ただし「正しい書き方は一つ」とは考えない
  12. 11. 次は「どの環境側面が重要か」を考える
  13. 12. 明日からできる|自社の環境側面評価表を10分で点検する
    1. ステップ1|分かりやすい項目を一つ選ぶ
    2. ステップ2|環境との関わりを確認する
    3. ステップ3|その結果を考える
    4. ステップ4|会社の管理を確認する
  14. 13. 環境側面・環境影響・管理策チェックリスト
    1. 環境との関わり・環境側面
    2. 環境影響
    3. 管理策
    4. 全体
  15. 14. よくある質問
    1. Q1. 第1回・第2回で出てきた「環境との接点」と「環境側面」は同じ意味ですか?
    2. Q2. 環境側面と環境影響は、必ず一対一ですか?
    3. Q3. 「CO2排出」は環境側面ですか、環境影響ですか?
    4. Q4. 「節電」は環境側面ですか?
    5. Q5. 「ごみの分別」は環境側面ですか?
    6. Q6. プラス方向の環境側面は、別に探した方がよいですか?
    7. Q7. 環境側面評価表の書き方が少し違っていたら、不適合になりますか?
  16. 15. まとめ|「何を使う?何が出る?その先は?」から考えよう
  17. 注意すべき法令・公的情報

はじめに|「環境との接点」を、もう少し具体的に見てみましょう

このシリーズの第1回・第2回では、「環境側面」をイメージしやすくするために、「会社の活動・製品・サービスと環境との接点」という言い方をしてきました。

「接点」と言われると、

「電気を使うところ?」

「廃棄物が出るところ?」

「排水を出すところ?」

と疑問に思うかもしれません。

どれも、会社と環境との関わりを考えるうえでは大切です。

ただし、ここでいう「接点」は、工場や事業所の中にある特定の場所を意味しているわけではありません。

今回は、その「接点」の中身を、もう少し具体的に見ていきます。

あわせて整理したいのが、

「環境側面」「環境影響」「管理策」の違い

です。

まずは大まかに、次のように考えてみてください。

用語やさしく言うと
環境側面会社の活動・製品・サービスの中で、環境に関わるもの・こと
環境影響その結果、環境がどう変わるか
管理策その影響を管理・改善するために、会社として何をするか

この3つが分かれるようになると、環境側面評価表もかなり読みやすくなります。


1. 「環境との接点」は3方向から探すと見つけやすい

「環境との接点」を探すときは、まず次の3方向から自社の仕事を見てみると分かりやすくなります。

見る方向何を見る?具体例
①使うもの仕事のために何を使っているか電気、水、燃料、原材料、化学物質
②出るもの仕事の結果、何が出ているか排水、排気、廃棄物、騒音、臭気
③その先での関わり製品・サービスが会社の外で環境にどう関わるか省エネ性能、長寿命化、修理しやすさ、リサイクルしやすさ、環境配慮サービス

たとえば製造業なら、工場で電気・水・原材料を使い、製造の結果として廃棄物や排水、排気などが出ることがあります。

ここまでは比較的イメージしやすいでしょう。

しかし、会社と環境との関わりは、自社の敷地の中だけで終わるとは限りません。

自社の製品が従来品より少ない電力で使えるものであれば、お客様がその製品を使用する段階で、エネルギー消費を減らせる可能性があります。

修理しやすく長く使える製品なら、買い替えや廃棄を減らすことにつながるかもしれません。

リサイクルしやすい設計なら、使用後の資源循環にも関わります。

つまり、このシリーズで使っている「環境との接点」とは、

会社の活動・製品・サービスが、環境にどのように関わっているかを見るための分かりやすい表現

と考えてください。


2. 「環境側面=環境に悪いこと」ではない

「使うもの」「出るもの」に目を向けると、どうしても環境への負荷につながる例が多く見つかります。

たとえば、

  • 電気を使う
  • 燃料を使う
  • 水を使う
  • 廃棄物が出る
  • 排水が出る
  • 化学物質を使う

といったものです。

そのため、「環境側面を洗い出す」と聞くと、環境に悪いことを探す作業だと思ってしまうことがあります。

しかし、製品やサービスの「その先」まで視野を広げると、見え方が変わります。

たとえば、ある製品について考えてみましょう。

製造するときには、電力や原材料を使用し、廃棄物が発生するかもしれません。

一方、その製品の省エネ性能を高めれば、お客様が使う段階でのエネルギー消費を減らせる可能性があります。

長く使える設計や修理しやすい構造にすれば、買い替えや廃棄を減らすことにつながります。

使用後にリサイクルしやすい設計であれば、資源循環にも関係します。

ここで大切なのは、最初から「悪いもの」と「良いもの」を別々に探そうとしないことです。

まず、

「自社の活動・製品・サービスは、環境とどのように関わっているだろう?」

と広く見てみます。

その結果として、環境への負荷につながる関わりもあれば、環境負荷を減らす方向に働く関わりも見えてきます。

この順番で考えると、環境側面を「悪いことの一覧」にしてしまうのを避けやすくなります。


3. 環境側面とは?|環境に関わる「もの・こと」

ここまで見つけてきた「環境との接点」を、これからはISO14001の言葉で「環境側面」と呼んでいきます。

初心者の方は、まず、

「会社の活動・製品・サービスの中で、環境に関わるもの・こと」

と考えてください。

たとえば、

  • 電力の使用
  • 水の使用
  • 燃料の使用
  • 原材料の使用
  • 化学物質の使用
  • 排水
  • 排気
  • 廃棄物の発生
  • 製品のエネルギー効率
  • 製品の耐久性
  • リサイクルしやすい設計

などが考えられます。

大切なのは、環境側面という言葉だけを暗記しないことです。

「この関わりによって、環境にはどのような変化が起こるだろう?」

と、その先まで考えてみましょう。

そこで出てくるのが「環境影響」です。


4. 環境影響とは?|その結果「環境がどう変わるか」

環境影響は、環境側面との関わりによって生じる環境の変化です。

初心者の方は、

「その結果、環境がどう変わるのか」

と考えると分かりやすいでしょう。

たとえば「電力使用」という環境側面があれば、エネルギー資源の使用や、発電方法などに応じた温室効果ガス排出との関係が考えられます。

「排水」であれば、水質への負荷や下水処理への負荷などが考えられます。

一方、製品使用時のエネルギー効率を高めることで、お客様が使う段階でのエネルギー消費量が減ることもあります。

ここで覚えておきたいのは、

環境側面=会社と環境との関わり
環境影響=その関わりによって生じる環境の変化

という違いです。

「悪い影響だけが環境影響」ということではありません。

環境負荷が増える方向だけでなく、環境負荷が減る方向の変化も含めて考えることで、自社と環境との関係をより広く見ることができます。


5. 管理策とは?|会社として「何をするか」

環境側面と混ざりやすいのが「管理策」です。

この記事では、管理策を、

環境への影響を管理・改善するために、会社が行う具体的な取り組み

という意味で使います。

たとえば、

廃棄物の発生
→ 資源使用や廃棄物処理に伴う環境負荷

という関係があれば、

  • 発生量を減らす
  • 分別する
  • 再利用する
  • リサイクルする
  • 適切な処理業者に委託する

といった取り組みが考えられます。

つまり、

「廃棄物が発生すること」と、
「廃棄物を分別すること」

は役割が違います。

前者は環境側面、後者は管理のための行動です。

環境負荷を減らす方向でも同じです。

製品使用時の環境負荷をさらに減らしたいのであれば、省エネ性能を改善する、製品寿命を延ばす、修理しやすくする、再生材の利用を増やすなどの取り組みにつなげることができます。


6. 「活動→環境側面→環境影響→管理策」を一本につなげてみる

ここまでの内容を、一つの流れとして見てみましょう。

会社の活動・製品・サービス
↓
環境側面
↓
環境影響
↓
管理策

具体例で比較すると、それぞれの役割が分かりやすくなります。

活動・製品・サービス環境側面環境影響管理策の例
事務所・工場の稼働電力使用エネルギー資源の使用、発電に伴うGHG排出等使用量管理、不要設備の停止、省エネ設備の導入
ボイラー運転燃料使用・排気資源使用、大気への影響、GHG排出等燃焼管理、点検、高効率設備への更新
製品洗浄水使用・排水水資源の使用、水質への影響節水、排水処理、水質測定
製造廃棄物の発生資源使用、処理・最終処分による環境負荷発生抑制、分別、再利用、適正処理
塗装・洗浄化学物質の使用大気・水・土壌などへの影響代替品の検討、使用量管理、漏えい防止
製品設計材料・構造の選択資源使用、廃棄物発生などへの影響再生材利用、軽量化、リサイクルしやすい設計
製品提供製品使用時のエネルギー効率お客様の使用時のエネルギー消費量の増減省エネ性能の改善、適切な使用情報の提供
保守サービス製品の長寿命化につながるサービス資源使用や廃棄物発生の低減修理体制、部品供給、予防保全

どの会社も、この表とまったく同じ言葉を使う必要はありません。

確認したいのは、

何が環境に関わっているのか
→ その結果、環境がどう変わるのか
→ 会社として何をしているのか

というつながりです。


7. 初心者が迷いやすい例|これは側面?影響?管理策?

環境側面評価表を作っていると、「これはどこに書けばよいのだろう」と迷う言葉が出てきます。

代表的な例を見てみましょう。

「節電」はどれ?

一般的には、節電は電力使用に対する管理・改善の行動として整理すると分かりやすくなります。

環境側面:電力使用
→ 環境影響:エネルギー資源の使用、GHG排出等
→ 管理策:節電、省エネ設備、不要設備の停止

という関係です。

「分別」はどれ?

分別も、通常は管理のための行動として整理できます。

環境側面:廃棄物の発生
→ 環境影響:資源使用、廃棄物処理による環境負荷
→ 管理策:分別、再利用、リサイクル

と考えると分かりやすいでしょう。

「漏えい」はどれ?

これは少し注意が必要です。

たとえば油を使用・保管している場合、

環境側面:油の使用・保管
→ 環境影響:漏えいした場合の土壌・水質への影響
→ 管理策:容器点検、防液堤、保管ルール、緊急時対応

などと整理できます。

会社によっては「油の漏えい」という表現を環境側面一覧の中で使っている場合もあります。

言葉だけで正誤を決めるのではなく、漏えいの可能性と環境への影響を把握し、必要な管理につなげているかを確認することが大切です。

「省エネ製品」はどれ?

「省エネ製品」という言葉だけでは、環境側面なのか環境影響なのかが分かりにくいため、少し分けて考えます。

活動・製品:省エネ型製品の設計・提供
→ 環境側面:製品使用時のエネルギー効率
→ 環境影響:お客様の使用時のエネルギー消費量や、それに伴うGHG排出の低減
→ 管理・改善:省エネ性能の向上、適切な使用情報の提供

と整理できます。

「環境に良い製品だから環境側面」とだけ考えるのではなく、何が環境に関わり、その結果どのような変化が生じるのかまで分けてみることがポイントです。


8. 排水とBODも同じ流れで考えられる

排水についても考え方は同じです。

たとえば食品工場であれば、

食品加工・洗浄
→ 排水
→ BOD上昇や水質への負荷
→ 食品残渣の水切り、油分除去、排水処理、水質測定

という流れで整理できます。

このように排水も、「活動→環境側面→環境影響→管理策」という型で考えることができます。

排水、BOD、食品残渣の水切りをどこに整理するかなど、排水管理に特有の実務については、別記事「ISO14001の環境側面・環境影響・管理策|排水とBODの例で整理する」で詳しく解説しています。


9. 環境側面と「現場の管理上の問題」を混ぜすぎない

環境側面評価表を作っていると、項目をどんどん細かくしたくなることがあります。

たとえば、

  • 電気の消し忘れ
  • ごみの分別ミス
  • 原材料の過剰発注
  • 薬品容器のふたの閉め忘れ
  • 不要なアイドリング
  • 空調設定温度の間違い

などです。

どれも環境管理上は重要なことです。

しかし、こうした内容をすべて環境側面として並べていくと、環境側面評価表が「作業ミス一覧」や「日常点検表」のようになってしまうことがあります。

たとえば、

環境側面:電力使用
→ 環境影響:エネルギー資源の使用、GHG排出等
→ 管理策:空調温度管理、不要照明の消灯

と整理しておけば、「照明の消し忘れ」は管理策の実施状況として確認できます。

同じように、

環境側面:廃棄物の発生
→ 管理策:分別ルール

としておけば、「分別ミス」は分別ルールが適切に実施されているかという観点で確認できます。

環境側面評価表と、現場の日常点検・チェックリストの役割を分けて考えると、管理しやすくなります。


10. ただし「正しい書き方は一つ」とは考えない

ここまで、「活動→環境側面→環境影響→管理策」という整理方法を紹介してきました。

ただし、ISO14001で環境側面評価表の様式や記載方法が一つに決められているわけではありません。

会社によって、

  • 工程単位
  • 作業単位
  • 設備単位
  • 製品単位
  • 環境テーマ単位

など、管理しやすい整理の仕方は異なります。

そのため、

「排水と書かなければならない」

「BODと書いたら間違い」

というように、言葉だけで正誤を判断するものではありません。

確認したいのは、

自社の活動・製品・サービス
→ 環境との関わりを把握する
→ 起こり得る環境影響を考える
→ 重要性を判断する
→ 必要な管理につなげる

という一連の流れです。

評価表の見た目をそろえることよりも、この流れを自社の実務として説明できることを大切にしましょう。


11. 次は「どの環境側面が重要か」を考える

環境側面を洗い出したあと、すべてを同じ強さで管理するわけではありません。

次に、

どの環境側面を特に重要なものとして扱うか

を考えます。

そこで出てくるのが「著しい環境側面」です。

重要性を判断する際には、実務上たとえば、

  • 環境への影響の大きさ
  • 法令などとの関係
  • 発生する可能性
  • 過去の事故や苦情
  • 利害関係者の関心
  • 会社として重点的に改善したいこと

などを考慮する方法があります。

これらはあくまで評価の視点の例であり、ISO14001がこの評価項目や点数方式を一律に指定しているという意味ではありません。

たとえば、油や化学物質を保管している設備で、漏えいが起きた場合の環境影響が大きいのであれば、その環境側面を重要なものとして評価することが考えられます。

ここでは、複雑な点数表まで考える必要はありません。

まず、

環境側面と環境影響を整理する
→ そのあとで重要性を評価する

という順番を押さえておきましょう。

著しい環境側面の決め方や評価基準については、別の記事で詳しく解説します。


12. 明日からできる|自社の環境側面評価表を10分で点検する

この記事を読んだら、自社の環境側面評価表を開いてみてください。

全部を作り直す必要はありません。

まずは2〜3項目で構いません。

ステップ1|分かりやすい項目を一つ選ぶ

「電力」「廃棄物」「排水」「化学物質」などから、一つ選びます。

ステップ2|環境との関わりを確認する

次の3つを考えてみます。

  • 何を使っている?
  • 何が出ている?
  • 製品・サービスは、その先で環境にどう関わっている?

すべての項目で3つ全部に答える必要はありません。該当する視点から考えれば十分です。

ステップ3|その結果を考える

「その関わりによって、環境はどう変わるだろう?」

と考えます。

ステップ4|会社の管理を確認する

最後に、

「会社では、それをどう管理・改善しているだろう?」

と確認します。

たとえば、

電力使用
→ エネルギー資源の使用・GHG排出等
→ 使用量監視・節電・省エネ設備

と一本につながれば、側面・影響・管理の関係を整理できています。

もし現在の表で原因と結果が混ざっていても、すぐに全体を作り直す必要はありません。

まずは、

何を把握しているのか
→ どの環境影響を見ているのか
→ どう管理しているのか

を確認するところから始めましょう。


13. 環境側面・環境影響・管理策チェックリスト

まず確認したいのは、次の4点です。

  • 何が環境に関わっているかを説明できる
  • その結果、環境がどう変わるかを説明できる
  • 会社として何を管理・改善しているかを説明できる
  • 側面・影響・管理策が一本の流れでつながっている

ここまで確認できたら、次も見てみましょう。

環境との関わり・環境側面

  • 「何を使うか」「何が出るか」を確認している
  • 製品・サービスを通じた環境との関わりも必要に応じて確認している
  • 工場や事務所の敷地内だけに限定して考えていない
  • 環境への負荷だけを探す作業になっていない

環境影響

  • 環境側面との関わりから、どのような環境変化が生じるかを考えている
  • 大気、水、土壌、資源、気候、生態系など、自社に関係する影響を確認している
  • 環境負荷が増える方向だけでなく、減る方向の影響も必要に応じて確認している

管理策

  • 必要な管理・改善の方法が決まっている
  • 手順、点検、測定、教育などが実際の現場につながっている
  • 「分別」「節電」などの行動と、環境側面そのものを混同していないか確認している

全体

  • 環境側面評価表が単なる作業ミス一覧になっていない
  • 管理策が日常の手順やチェックリストにつながっている
  • 重要と判断した環境側面について、その理由を説明できる

14. よくある質問

Q1. 第1回・第2回で出てきた「環境との接点」と「環境側面」は同じ意味ですか?

このシリーズでは、「環境側面」を初心者の方にもイメージしやすくするために、「環境との接点」という表現を使っています。

「接点」はISO14001の正式な用語ではありません。

このシリーズでは、

  • 会社が何を使っているか
  • 会社から何が出ているか
  • 製品やサービスを通じて、その先で環境にどう関わっているか

を考えるための、やさしい言い換えとして使っています。

Q2. 環境側面と環境影響は、必ず一対一ですか?

必ずしも一対一ではありません。

一つの環境側面から、複数の環境影響が生じることがあります。

たとえば燃料使用であれば、資源使用、大気への影響、温室効果ガス排出との関係など、複数の方向から考えることができます。

逆に、複数の環境側面が同じ環境影響につながることもあります。

表をきれいに一対一にすることより、重要な環境影響を見落とさないことを優先しましょう。

Q3. 「CO2排出」は環境側面ですか、環境影響ですか?

会社の整理方法によって、使われている表現は異なることがあります。

初心者向けには、

燃料・電力の使用
→ 温室効果ガスの排出を通じた気候への影響

という形で整理すると、関係を理解しやすくなります。

「CO2排出」という言葉だけを見て正誤を判断するのではなく、何を環境との関わりとして捉え、その結果をどう評価しているかを確認してみてください。

Q4. 「節電」は環境側面ですか?

一般的には、電力使用に対する管理・改善の行動として整理すると分かりやすいでしょう。

電力使用
→ エネルギー資源の使用やGHG排出との関係
→ 節電・省エネ設備

という流れです。

Q5. 「ごみの分別」は環境側面ですか?

一般的には、管理のための行動として整理すると分かりやすくなります。

廃棄物の発生
→ 資源使用や廃棄物処理に伴う環境負荷
→ 分別・再利用・リサイクル

という流れです。

Q6. プラス方向の環境側面は、別に探した方がよいですか?

必ずしも、プラス方向だけを別枠で探す必要はありません。

まず、自社の活動・製品・サービスが環境とどう関わっているかを広く見てみましょう。

その結果として、

  • 環境負荷を生む関わり
  • 環境負荷を減らす方向に働く関わり

の両方が見えてきます。

特に、製品やサービスまで視野を広げると、省エネ性能、長寿命化、修理しやすさ、リサイクル設計、お客様の環境負荷を減らすサービスなどに気づきやすくなります。

Q7. 環境側面評価表の書き方が少し違っていたら、不適合になりますか?

様式や言葉が少し違うだけで、直ちに問題になると考える必要はありません。

重要なのは、自社の活動・製品・サービスと環境との関わりを把握し、重要な環境影響を見落とさず、必要な管理につなげていることです。

評価表を見直すときは、言葉が完全にそろっているかだけではなく、

環境側面 → 環境影響 → 評価 → 管理

という流れを説明できるかを確認してみましょう。


15. まとめ|「何を使う?何が出る?その先は?」から考えよう

第1回・第2回では、環境側面を分かりやすくするために「環境との接点」と説明してきました。

今回、その中身をもう少し詳しく整理しました。

「環境との接点」を探すときは、まず、

① 何を使う?
② 何が出る?
③ 製品・サービスは、その先で環境にどう関わる?

という3方向から見てみましょう。

そして、見つけた関わりを、

何が環境に関わる?
→ 環境側面

その結果、環境がどう変わる?
→ 環境影響

会社として何をする?
→ 管理策

と整理します。

環境側面は、「環境に悪いものだけを探す作業」ではありません。

自社と環境との関わりを広く見ていけば、環境負荷につながるものだけでなく、省エネ性能や長寿命化など、環境負荷を減らす方向の関わりも見えてきます。

まずは第12章の10分点検を使って、自社の環境側面評価表から2〜3項目だけ確認してみてください。

全部の表を一度に直す必要はありません。

一つの項目について、

環境との関わり → 環境への変化 → 会社の管理

が説明できるようになることから始めましょう。

今後の記事では、こうした環境との関わりを実際の業務からどのように洗い出すかを、さらに詳しく解説していきます。

また、環境側面と環境影響を整理できたら、次は「どの環境側面を重点的に管理するのか」を判断します。評価基準や点数方式、具体例については「ISO14001の『著しい環境側面』の決め方」で詳しく解説しています。


注意すべき法令・公的情報

環境側面そのものは、特定の環境法令だけで決まるものではありません。

実際に環境側面を洗い出し、重要性を評価するときには、自社の活動に応じて、たとえば次のような法令・制度との関係を確認します。

  • 大気汚染防止法
  • 水質汚濁防止法
  • 下水道法
  • 廃棄物処理法
  • 騒音規制法
  • 振動規制法
  • PRTR制度などの化学物質管理
  • フロン排出抑制法
  • 省エネ法
  • 自治体の条例・協定
  • 顧客・取引先からの環境要求

適用される法令、届出、基準、測定義務などは、事業内容、設備、使用物質、所在地、排水先などによって異なります。

個別の適用判断は、環境省、経済産業省、自治体、下水道管理者などの最新情報を確認してください。

ISO14001については、ISO 14001:2026が2026年4月に第4版として発行されています。日本国内ではJIS Q 14001:2026も確認し、正式な規格文、日本産業標準調査会、認証機関などの最新情報を参照しながら、自社のEMSに反映してください。

また、顧客やサプライチェーンから環境情報の提供を求められる企業では、国内法令だけでなく、海外のサステナビリティ情報開示や製品・化学物質規制などが関係する場合があります。自社の取引先、輸出先、製品・サービスに応じて、必要な範囲で海外の公的情報も確認するとよいでしょう。

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