ISO45001解説シリーズ第5回:ISO45001の箇条7「支援」とは?力量管理・教育訓練・コミュニケーション・文書管理を初心者向けに解説

ISO45001
  1. はじめに|箇条7「支援」は、計画を現場で動かすための土台です
  2. 箇条7「支援」の全体像
  3. 資源とは何か|安全衛生活動に必要なものを確保する
    1. 資源の例
  4. 力量とは何か|教育を受けたかだけでなく、できる状態かを見る
    1. 力量が必要になる人の例
  5. 教育訓練・資格管理をどう整理するか
    1. 教育訓練・資格管理で確認すること
    2. 教育記録の例
  6. 認識とは何か|知っているだけでなく、自分ごととして理解しているか
    1. 認識を高める方法の例
  7. コミュニケーションとは何か|誰に、何を、いつ、どう伝えるか
    1. 社内コミュニケーションの例
    2. 社外コミュニケーションの例
  8. 文書化した情報とは何か|手順書と記録を管理する
    1. 文書と記録の違い
    2. 文書化した情報の例
    3. 文書管理・記録管理で確認すること
  9. 箇条7で確認するとよい記録・資料の例
  10. 初めて担当する方が箇条7でつまずきやすいポイント
    1. つまずき1|教育を実施すれば力量があると思ってしまう
    2. つまずき2|資格管理と力量管理を混同する
    3. つまずき3|方針を掲示すれば認識されていると思ってしまう
    4. つまずき4|コミュニケーションが一方通行になる
    5. つまずき5|古い手順書が現場に残っている
    6. つまずき6|記録を残すことが目的になる
  11. 資源
  12. 力量
  13. 認識
  14. コミュニケーション
  15. 文書化した情報
  16. Q1. ISO45001の箇条7「支援」とは何ですか?
  17. Q2. 力量と教育は同じですか?
  18. Q3. 資格があれば力量があると考えてよいですか?
  19. Q4. 認識はどのように確認すればよいですか?
  20. Q5. コミュニケーションは何を決めればよいですか?
  21. Q6. 文書化した情報はどこまで作る必要がありますか?
  22. Q7. 中小企業では、箇条7をどこから整えればよいですか?

はじめに|箇条7「支援」は、計画を現場で動かすための土台です

ISO45001の箇条7「支援」は、初めて担当する方にとって、少し地味に見える箇条かもしれません。

箇条6では、危険源を特定し、リスクを評価し、法的要求事項を確認し、労働安全衛生目標を立てました。

しかし、どれだけ良い計画を作っても、それを実行するための人、情報、教育、記録が整っていなければ、現場ではうまく動きません。

たとえば、次のような状態に心当たりはないでしょうか。

  • 危険な作業なのに、必要な教育を受けた人が誰なのか明確でない
  • 作業手順書はあるが、現場では古い版が使われている
  • 労働安全衛生方針を掲示しているが、働く人がその内容をよく理解していない
  • ヒヤリハットの報告先がはっきりしない
  • 安全衛生教育、資格、修了証、再教育の管理が整理されていない
  • 請負業者や派遣労働者に、必要な安全情報が十分に伝わっていない
  • 点検記録や教育記録が、どこに保管されているか分からない

このような状態が続くと、ISO45001の仕組みは「文書はあるが、現場では機能していない」という形式的なものになりやすくなります。

箇条7「支援」は、一言でいえば次のような箇条です。

安全衛生活動を実行するために必要な人・情報・記録を整える箇条

この記事では、箇条7について、初めて担当する方が実務で確認すべきポイントを、資源・力量・認識・コミュニケーション・文書化した情報に分けて整理していきます。


箇条7「支援」の全体像

ISO45001の箇条7は、主に次の5つのテーマで構成されています。

  1. 資源
  2. 力量
  3. 認識
  4. コミュニケーション
  5. 文書化した情報

実務の感覚に置き換えると、次のように考えるとわかりやすくなります。

テーマ実務で考えること
資源安全衛生活動に必要な人員、時間、予算、設備、保護具などがあるか
力量危険な作業や管理業務を行う人に、必要な知識・技能・経験があるか
認識働く人が方針、リスク、ルール、自分の役割を理解しているか
コミュニケーション必要な情報を、誰に、いつ、どのように伝え、受け取るか
文書化した情報手順書、記録、帳票、教育記録などを適切に管理しているか

箇条7は、箇条6で立てた計画を支える役割を持っています。

たとえば、第4回で「化学物質のリスクアセスメントを今年度中に全工程で実施する」という目標を立てたとします。

この目標を実行するには、SDS(安全データシート)を読み取れる力量、関係者への周知、教育の実施記録、評価結果を残す記録の管理などが必要になります。

つまり、箇条7は「計画を実行するための準備を整える箇条」と捉えると理解しやすくなります。


資源とは何か|安全衛生活動に必要なものを確保する

箇条7.1では、労働安全衛生マネジメントシステムに必要な資源を確認します。

「資源」というと予算だけをイメージしがちですが、実務ではもっと広い範囲を含みます。

資源の例

区分
安全衛生担当者、現場管理者、教育担当者、産業医、外部専門家
時間職場巡視、教育、リスクアセスメント、委員会、改善活動の時間
予算設備改善、保護具、測定、教育、外部講習、コンサルティング費用
設備・道具安全カバー、局所排気装置、測定器、掲示物、保護具
情報法令情報、SDS、災害事例、作業手順書、メーカー資料
仕組み教育管理表、資格管理表、コミュニケーションルート、文書管理ルール

安全衛生活動が思うように進まない原因は、「担当者のやる気が足りないから」ではなく、単純に必要な資源が不足しているケースも少なくありません。

たとえば、熱中症対策を行うには、WBGT測定器、休憩場所、飲料、教育時間、作業時間の調整といった資源が必要です。

フォークリフトと作業者の接触リスクを下げるには、歩行者と車両の通路を分けるライン、ミラー、標識、教育、現場改善のための予算が必要になります。

担当者が資源不足を一人で抱え込んでしまうと、活動が停滞しやすくなります。必要性を整理したうえで、トップマネジメントや管理職に説明し、検討してもらうことが大切です。


力量とは何か|教育を受けたかだけでなく、できる状態かを見る

箇条7.2では、必要な力量を確認します。

ISO45001における力量は、単に「教育を受けたこと」を指すものではありません。実務では、次のように考えるとわかりやすくなります。

力量とは、安全に作業や管理を行うために必要な知識・技能・経験を持ち、実際にそれができる状態のこと

たとえば、フォークリフト作業であれば、必要な資格や教育を受けていることに加えて、自社構内のルール、歩行者との接触防止、点検方法、異常時の対応を理解し、実際に安全に運転できることが重要です。

化学物質を扱う作業であれば、SDSの内容、保管方法、保護具の使い方、漏えい時の対応、廃棄方法、ばく露防止について理解していることが求められます。

力量が必要になる人の例

対象者必要な力量の例
現場作業者作業手順、危険源、保護具の使用方法、異常時対応
現場管理者作業指導、リスクアセスメント、是正処置、教育
安全衛生担当者法令確認、委員会運営、記録管理、災害分析
ISO事務局規格要求事項、内部監査、文書管理、マネジメントレビュー準備
新入社員・異動者基本ルール、職場固有の危険源、報告ルート
派遣・請負・協力会社構内ルール、作業範囲、緊急時連絡、危険源情報
管理職安全衛生方針、役割責任、部門目標、部下への指導

力量管理では、まず「誰に、どの力量が必要か」を明確にすることが出発点になります。すべてを一度に整理しようとせず、危険度の高い作業や対象人数の多い業務から優先的に整理していくと、無理なく進められます。


教育訓練・資格管理をどう整理するか

力量を確保する手段としては、教育訓練、OJT、資格取得、技能講習、特別教育、経験、外部講習などがあります。

ここで注意したいのは、ISO45001の力量管理と、日本の労働安全衛生法令上の教育・資格管理が重なる場合があるという点です。

一定の危険・有害な業務では特別教育が必要になる場合があり、特に危険・有害な業務では、免許や技能講習などの資格を持つ人でなければ就業できない場合もあります。

そのため、教育訓練計画を作るときは、ISO45001の要求だけでなく、労働安全衛生法令上の教育・資格・技能講習・特別教育の要否も併せて確認する必要があります。

教育訓練・資格管理で確認すること

確認項目内容
対象作業危険・有害な作業、資格が必要な作業、特別教育が必要な作業
対象者正社員、パート、派遣、請負、異動者、新人、管理職
必要な教育雇入れ時教育、作業変更時教育、特別教育、職長教育、管理者教育など
必要な資格技能講習、免許、作業主任者、運転資格など
実施時期配属前、作業前、変更時、定期、再教育時
記録受講者、実施日、講師、内容、理解確認、修了証
有効性確認現場で安全に作業できているか、手順を守れているか

教育記録の例

教育名対象者実施日内容確認方法記録
新入社員安全衛生教育新入社員4月1日基本ルール、報告、保護具理解度確認受講記録
化学物質取扱教育洗浄作業者5月10日SDS、保管、保護具、漏えい対応現場確認教育記録
フォークリフト構内ルール教育運転者6月3日歩車分離、速度、点検実地確認受講記録
熱中症予防教育屋外作業者6月15日WBGT、休憩、水分補給朝礼確認教育記録

教育を実施したら、記録を残します。ただし、記録を残すこと自体が目的ではありません。

教育の後、実際に現場で安全な行動につながっているかを確認することが、力量管理の本質的なポイントです。

なお、法令上必要な教育・資格・技能講習・特別教育は、業種、事業場の規模、作業内容、使用設備、取り扱う化学物質によって異なります。

最新の内容は、厚生労働省、都道府県労働局、労働基準監督署、職場のあんぜんサイト、中央労働災害防止協会などの公的情報で確認することをおすすめします。


認識とは何か|知っているだけでなく、自分ごととして理解しているか

箇条7.3では、働く人の認識を扱います。

認識とは、単に「説明を聞いた」「掲示を見た」という状態を指すものではありません。実務では、次のように考えるとわかりやすくなります。

認識とは、自分の仕事が安全衛生にどう関係し、何を守る必要があるかを理解している状態

たとえば、働く人が次のことを理解しているかどうかが、認識のポイントになります。

  • 労働安全衛生方針の意味
  • 自分の作業に関係する危険源とリスク
  • 守るべき作業手順やルール
  • ヒヤリハットや異常時の報告方法
  • 自分の行動が安全衛生目標にどう関係するか
  • ルールを守らなかった場合にどのような影響があるか
  • 改善提案や協議・参加の機会があること

認識を高める方法の例

方法
朝礼当日の危険作業、ヒヤリハット、注意事項を共有する
掲示方針、目標、緊急連絡先、重点リスクを見える化する
教育危険源、作業手順、保護具、異常時対応を説明する
職場巡視現場でルールの意味を確認する
安全衛生委員会活動結果や改善状況を共有する
フィードバック報告されたヒヤリハットへの対応結果を伝える
多言語・図解外国人労働者や新人にも伝わるようにする

認識は、一度説明すれば終わりというものではありません。

作業の変更、設備の変更、事故の発生、季節リスク、法令の改正などに応じて、繰り返し伝えていくことが必要です。

掲示物を貼っただけで「認識させた」と判断するのではなく、自分の仕事との関係まで理解できているかを、朝礼や巡視の中で確認していく姿勢が大切です。


コミュニケーションとは何か|誰に、何を、いつ、どう伝えるか

箇条7.4では、コミュニケーションを扱います。

コミュニケーションとは、単に「会社から連絡すること」ではありません。必要な安全衛生情報を、必要な人に、必要なタイミングで伝え、必要に応じて受け取る仕組みのことです。

実務では、次の4つを整理するとよいでしょう。

  1. 何を伝えるか
  2. 誰に伝えるか
  3. いつ伝えるか
  4. どの方法で伝えるか

社内コミュニケーションの例

伝える内容対象者タイミング方法
労働安全衛生方針全従業員年度初め、入社時朝礼、掲示、教育
重大な危険源・リスク関係作業者作業前、変更時KY活動、作業前ミーティング
ヒヤリハット・災害事例全社・関係部署発生後、月次委員会、掲示、メール
作業手順の変更対象作業者変更前教育、手順書改訂
緊急時対応関係者訓練時、変更時訓練、掲示、説明
安全衛生目標の進捗管理職・委員会月次・四半期会議、資料

社外コミュニケーションの例

相手内容の例
請負業者・協力会社構内ルール、危険源、緊急時連絡、作業範囲
派遣会社教育分担、作業内容、必要な資格、健康配慮
顧客・元請安全衛生に関する要求、事故報告、入場ルール
行政・労働基準監督署届出、報告、相談、災害発生時の対応
産業医・外部専門家健康管理、作業環境、メンタルヘルス、改善助言
近隣・地域工事、騒音、交通など、安全配慮が必要な場合の連絡

特に請負業者や協力会社が構内で作業する場合は、危険源、立入禁止区域、緊急時対応、報告ルートなどを事前に伝えることが重要です。

コミュニケーションを整理するときに見落としやすいのが、「受け取る仕組み」です。

会社から働く人へ伝える一方通行の流れだけでなく、現場からのヒヤリハット報告や改善提案を受け取り、対応する仕組みも、ISO45001のコミュニケーションに含まれます。

これは第3回で解説した「働く人の協議及び参加」とも関係する部分です。


文書化した情報とは何か|手順書と記録を管理する

箇条7.5では、文書化した情報を扱います。

文書化した情報とは、簡単に言えば、ISO45001の運用に必要な文書や記録のことです。

ここで大切なのは、「文書をたくさん作ること」ではありません。必要な情報が、必要な人に、必要なときに使える状態になっていることが本質です。

文書と記録の違い

ISO45001では「文書化した情報」という表現で、従来の文書や記録をまとめて扱います。

ただし、初任担当者が実務で整理する場合は、次のように分けて考えると理解しやすくなります。

種類役割
文書方針、手順書、作業標準、ルール、計画書これから何をするかを示す
記録教育記録、点検記録、監査記録、議事録、災害報告実施した結果を残す

たとえば、作業手順書は文書であり、教育を実施した記録は記録です。

リスクアセスメントの手順は文書であり、リスクアセスメント表は記録として扱われることが多くなります。

文書化した情報の例

区分
方針・計画労働安全衛生方針、安全衛生目標、年間安全衛生計画
手順・ルール作業手順書、緊急時対応手順、保護具ルール、請負業者ルール
力量・教育教育計画、教育記録、資格一覧、修了証の写し
リスク管理危険源一覧、リスクアセスメント表、管理策一覧
法令対応法令一覧、点検記録、届出控え、健康診断記録
コミュニケーション安全衛生委員会議事録、掲示物、周知記録、連絡記録
改善ヒヤリハット記録、災害報告、是正処置記録、改善提案

文書管理・記録管理で確認すること

  • 最新版がどれか分かるようになっているか
  • 古い手順書が現場に残っていないか
  • 誰が作成・承認・改訂するかが決まっているか
  • 必要な人が見られる場所に保管されているか
  • 紙と電子データの管理方法が決まっているか
  • 外部文書(法令情報、SDSなど)をどう管理するか
  • 記録の保管期間が決まっているか
  • 健康診断やストレスチェックなど、個人情報・健康情報を含む記録の取扱いに注意しているか

文書管理は、審査のために行うものではありません。

現場が正しい手順で作業し、教育や点検の実施状況を確認でき、そこから改善につなげていくための土台と考えると、何を整えればよいかが見えやすくなります。


箇条7で確認するとよい記録・資料の例

箇条7に関連して、次のような記録・資料を一度確認しておくと、現状把握がしやすくなります。

テーマ記録・資料の例
資源年間安全衛生計画、予算申請、改善計画、保護具管理表
力量力量一覧表、教育計画、教育記録、資格一覧、修了証
認識方針周知記録、朝礼記録、掲示物、理解度確認の記録
コミュニケーション委員会議事録、ヒヤリハット共有記録、請負業者連絡記録
文書化した情報文書一覧、改訂履歴、記録一覧、保管ルール
外部情報法令情報、SDS、メーカー資料、行政資料

重要なのは、記録そのものを増やすことではありません。

必要な力量があり、必要な情報が伝わり、必要な記録が残っていることを、誰でも確認できる状態にしておくことです。


初めて担当する方が箇条7でつまずきやすいポイント

つまずき1|教育を実施すれば力量があると思ってしまう

教育を受けたことと、実際に安全に作業できることは同じではありません。

教育記録だけでなく、現場で手順を守れているか、内容を理解できているかを確認する視点を持つことが大切です。

つまずき2|資格管理と力量管理を混同する

資格は力量を示す重要な要素ですが、資格があるだけで十分とは限りません。

構内ルール、設備ごとの注意点、異常時対応など、自社固有の力量も併せて確認する必要があります。

つまずき3|方針を掲示すれば認識されていると思ってしまう

掲示していても、働く人がその意味を理解していなければ、認識されているとは言いにくい状態です。

朝礼、教育、現場巡視などを通じて、自分の仕事との関係を伝えることが大切です。

つまずき4|コミュニケーションが一方通行になる

安全衛生情報を伝えるだけでなく、現場からの意見、ヒヤリハット、改善提案を受け取る仕組みも必要です。

第3回で解説した「働く人の協議及び参加」ともつながる部分です。

つまずき5|古い手順書が現場に残っている

手順書を改訂しても、現場に古い版が残っていると、事故や不適合につながりかねません。

最新版管理、改訂履歴、周知の仕組みを確認しておきましょう。

つまずき6|記録を残すことが目的になる

教育記録や点検記録は、審査のためだけに残すものではありません。

抜け漏れを防ぎ、異常の傾向を見つけ、改善につなげるために活用することが本来の目的です。


チェックリスト

資源

  • 安全衛生活動に必要な人員、時間、予算が確保されているか
  • 保護具、測定器、掲示物、教育資料などが準備されているか
  • 産業医、外部専門家、講習機関などの支援を活用できているか
  • 資源が不足している場合、経営層へ報告・相談しているか

力量

  • どの作業にどの力量が必要か整理しているか
  • 危険・有害作業に必要な教育、資格、技能講習を確認しているか
  • 新入社員、異動者、派遣、請負業者への教育を整理しているか
  • 教育記録、資格一覧、修了証を管理しているか
  • 教育後に現場で安全に作業できているか確認しているか
  • 法令上必要な教育・資格を公的情報で確認しているか

認識

  • 労働安全衛生方針が働く人に伝わっているか
  • 自分の作業に関係する危険源とリスクを理解しているか
  • ヒヤリハットや異常時の報告ルートを理解しているか
  • 安全衛生目標と自分の作業の関係を理解しているか
  • 請負業者や外国人労働者にも必要な情報が伝わっているか

コミュニケーション

  • 誰に、何を、いつ、どのように伝えるか整理しているか
  • 安全衛生委員会、朝礼、掲示、メールなどの伝達方法があるか
  • 災害・ヒヤリハット情報を共有しているか
  • 作業変更や手順変更を対象者に伝えているか
  • 請負業者、派遣会社、行政、顧客など社外との連絡方法があるか
  • 現場からの意見や改善提案を受け取る仕組みがあるか

文書化した情報

  • 必要な手順書、記録、帳票が整理されているか
  • 最新版が分かるように管理しているか
  • 古い手順書が現場に残っていないか
  • 作成、承認、改訂、配付のルールがあるか
  • 教育記録、点検記録、委員会議事録などの保管場所が明確か
  • SDS、法令情報、メーカー資料などの外部文書を管理しているか
  • 健康情報や個人情報の取扱いに注意しているか

よくある質問

Q1. ISO45001の箇条7「支援」とは何ですか?

箇条7「支援」は、安全衛生活動を実行するために必要な人、情報、教育、コミュニケーション、文書管理を整える箇条です。

箇条6で計画を立てても、それを実行する力量や情報共有、記録管理がなければ現場では動きません。

箇条7は、計画を実行するための土台と考えるとわかりやすいです。

Q2. 力量と教育は同じですか?

同じではありません。

教育は力量を身につけるための手段の一つです。

力量とは、必要な知識、技能、経験を持ち、実際に安全に作業や管理ができる状態を指します。

教育記録があるだけでなく、現場で安全な作業につながっているかを確認することが大切です。

Q3. 資格があれば力量があると考えてよいですか?

資格は力量を示す重要な要素ですが、それだけで十分とは限りません。

たとえば、フォークリフトの資格があっても、自社構内の動線、速度ルール、荷扱いルール、緊急時対応を知らなければ、安全に作業できるとは言い切れません。

資格に加えて、自社固有のルールや作業条件を理解しているかを確認しましょう。

Q4. 認識はどのように確認すればよいですか?

認識は、掲示や教育を行っただけでは十分とは限りません。

朝礼、現場巡視、簡単な理解度確認、ヒヤリハット報告、作業前ミーティングなどを通じて、働く人が自分の作業に関係するリスクやルールを理解しているか確認していきます。

Q5. コミュニケーションは何を決めればよいですか?

「誰に、何を、いつ、どの方法で伝えるか」を整理します。

たとえば、安全衛生方針は全従業員へ、作業手順の変更は対象作業者へ、構内ルールは請負業者へ、災害情報は関係部署へ伝えます。

伝えるだけでなく、現場からの意見や報告を受け取る仕組みも重要です。

Q6. 文書化した情報はどこまで作る必要がありますか?

必要以上に文書を増やす必要はありません。

重要なのは、現場で必要な手順や記録が使える状態になっていることです。

作業手順書、教育記録、点検記録、リスクアセスメント表、委員会議事録など、自社のリスクや管理内容に応じて整理していきます。

Q7. 中小企業では、箇条7をどこから整えればよいですか?

まずは、次の3つから始めるとよいでしょう。

  1. 危険・有害作業に必要な教育・資格の一覧を作る
  2. 安全衛生方針、重点リスク、報告ルートを働く人に伝える
  3. 手順書、教育記録、点検記録の最新版と保管場所を整理する

この3つを整えるだけでも、箇条7の運用はかなりわかりやすくなります。


まとめ|箇条7は「安全衛生活動を支える仕組み」を整える箇条です

ISO45001の箇条7「支援」は、労働安全衛生マネジメントシステムを実際に動かすための土台です。

箇条7で確認することは、主に次のとおりです。

  • 安全衛生活動に必要な資源を確保する
  • 作業や管理に必要な力量を明確にする
  • 教育訓練、資格、経験を管理する
  • 働く人が方針、リスク、ルール、自分の役割を認識する
  • 必要な情報を社内外で適切に伝え、受け取る
  • 手順書や記録など、文書化した情報を管理する

箇条7は、単なる文書管理の箇条ではありません。計画を現場で動かすための、人・情報・記録を整える箇条です。

第4回で立てたリスク低減策や労働安全衛生目標は、箇条7の支援があって初めて実行できます。必要な力量を持つ人がいて、方針やリスクが正しく伝わり、必要な記録が管理されている状態を目指していくことが大切です。

なお、教育・資格・技能講習・特別教育の要否は、業種や作業内容、設備、取り扱う化学物質によって異なります。最新の内容は、厚生労働省、都道府県労働局、労働基準監督署、職場のあんぜんサイト、中央労働災害防止協会などの公的情報で確認することをおすすめします。

また、審査における確認の観点は、認証機関や審査員によって異なる場合があります。この記事の内容は、実務整理の一つの考え方として参考にしてください。

次回の第6回では、箇条8「運用」を取り上げます。

箇条8では、作業管理、変更管理、外部委託、請負業者管理、緊急事態への準備及び対応など、現場で実際に安全衛生活動を動かすための管理を解説します。

箇条7で整えた人・情報・記録の仕組みが、箇条8でどのように現場の運用へつながっていくのか、続けて確認していきましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました