【法改正情報】2026年廃掃法改正、中小企業も注意が必要?スクラップ・廃棄物管理の見直しポイント

法改正

1. はじめに:まずは「自社から何が出ているか」を確認しましょう

2026年、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律」が公布されました。
この法律は、「廃掃法等改正」や「廃棄物処理法等改正」と呼ばれることもあります。

今回の改正で注目したいポイントは、大きく2つです。

1つ目は、スクラップヤードへの規制が強くなることです。
スクラップヤードとは、使われなくなった金属やプラスチックなどを集めて、保管したり、再生したりする場所のことです。

2つ目は、災害が起きたときの廃棄物処理の仕組みが強化されることです。
地震や大雨などの災害が起きると、がれき、壊れた家具、家電、泥などが大量に出ます。こうした災害廃棄物を、できるだけ早く、安全に処理するための仕組みが整えられます。

「スクラップヤードの話なら、自社には関係ない」と思う方もいるかもしれません。
しかし、中小企業でも、金属くず、プラスチックくず、古い機械や部品、廃材などを出している会社は少なくありません。

また、「廃棄物」として処分している場合だけでなく、「有価物」として売っている場合にも注意が必要です。
有価物とは、お金を払って捨てるのではなく、相手が買い取ってくれるもののことです。

ただし、「お金になるものだから、廃掃法は関係ない」とは言い切れない場合があります。
保管の仕方が悪かったり、火災や環境汚染のおそれがあったりする場合には、法令上の確認が必要になることがあります。

この記事では、法改正の細かい条文ではなく、中小企業がまず何を確認すればよいのかを中心に整理します。

2. 廃掃法とは?「ごみを正しく処理するためのルール」です

廃掃法の正式名称は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」です。
簡単にいうと、会社や家庭から出るごみを、正しく処理するための法律です。

会社からは、さまざまなごみが出ます。

たとえば、工場では金属くず、プラスチックくず、木くず、油、汚泥などが出ることがあります。
事務所では紙ごみ、古いパソコン、プリンター、机や棚などが出ることもあります。
店舗では食品ごみや包装材が出ることもあります。

こうしたものを勝手に捨てたり、許可のない業者に渡したりすると、不法投棄や環境汚染につながるおそれがあります。

そのため、廃掃法では、ごみを出す会社にも責任があるとされています。

ここで知っておきたいのが、「排出事業者責任」という考え方です。
これは、ごみを出した会社にも、最後まで責任があるという考え方です。

たとえば、会社が廃棄物の処理を業者にお願いしたとします。
そのあと、その業者が不適切な処理をした場合でも、「業者に渡したから、自社には関係ありません」とは言い切れない場合があります。

そのため、会社では次のことを把握しておく必要があります。

  • 自社から、どのような廃棄物が出ているか
  • その廃棄物を、誰に渡しているか
  • きちんと処理されたことを確認しているか
  • 契約書や記録が残っているか

廃掃法は、廃棄物処理業者だけの法律ではありません。
廃棄物を出す会社にも関係する可能性がある法律です。

3. 今回の改正で注目したい3つのポイント

3-1. スクラップヤードへの規制が強化される

今回の改正で注目されているものの一つが、スクラップヤードへの規制強化です。

スクラップヤードには、古い機械、解体された設備、金属部品、電線、家電の一部、プラスチック部品などが集められることがあります。

もちろん、適切に管理されている事業者も多くあります。
一方で、保管状態が悪い場所では、火災、悪臭、水質汚染、土壌汚染、騒音などが問題になることがあります。

そこで今回の改正では、使用済みの金属やプラスチック物品を保管・再生する事業について、許可制を導入することが示されています。

許可制とは、一定の基準を満たした事業者だけが、その事業を行えるようにする仕組みです。

今後は、スクラップを扱う事業者に対して、保管方法や再生方法について、より明確なルールが求められる方向です。

ここで大切なのは、これはスクラップヤード事業者だけの話ではないということです。

製造業や建設業などで、金属くずやプラスチックくずを外部に引き渡している会社もあります。
その場合、引渡し先が適切に管理しているかを確認しておくことが大切です。

3-2. 「有価物だから関係ない」とは言い切れない

次に注意したいのが、有価物の扱いです。

有価物とは、まだ価値があり、相手が買い取ってくれるものです。
たとえば、金属くずを回収業者に売る場合や、プラスチックの端材を資源として引き渡す場合などがあります。

現場では、次のように考えることがあります。

「お金を払って捨てているわけではない」
「相手が買い取ってくれている」
「だから廃棄物ではない」
「廃掃法は関係ない」

たしかに、すべての有価物が廃棄物になるわけではありません。
しかし、「有価物だから絶対に廃掃法は関係ない」と考えるのは、少し注意が必要です。

今回の改正では、環境を汚すおそれがある物品について、国内での再生を原則とし、輸出する場合には環境大臣の確認を求める仕組みも示されています。

つまり、価値があるものとして扱われていても、保管や再生の方法によっては、法令上の確認が必要になる可能性があります。

たとえば、次のような取引がある会社は、一度確認しておくとよいでしょう。

  • 昔から同じ回収業者に金属くずを渡している
  • 古い機械や部品を、まとめて外部業者に引き取ってもらっている
  • プラスチックの端材を、資源として売却している
  • 廃材や使用済み品を、有価物として外部に出している

「これは廃棄物なのか、有価物なのか」
「相手先はきちんと保管・再生しているのか」
「契約書や記録は残っているのか」

こうした点を確認しておくことが、トラブル予防につながります。

3-3. 災害時の廃棄物処理体制が強化される

もう一つのポイントは、災害廃棄物の処理体制の強化です。

災害廃棄物とは、地震、水害、台風などで発生する廃棄物のことです。
たとえば、がれき、壊れた家具、家電、木材、泥、片付けごみなどがあります。

大きな災害が起きると、通常のごみ処理では対応できないほど、大量の廃棄物が一度に出ます。
処理が遅れると、悪臭、害虫、火災、通行の妨げなどにつながることがあります。

今回の改正では、市町村の災害廃棄物処理計画、地方公共団体と事業者の協定、非常時の処分先の確保などがポイントになっています。

この部分は、自治体向けの内容に見えるかもしれません。
しかし、地域の処理業者、建設業者、運搬業者、工場、倉庫なども、災害時の協力先になる可能性があります。

中小企業でも、自社が災害時にどのような廃棄物を出す可能性があるかを考えておくことは大切です。

たとえば、倉庫の商品が水にぬれた場合。
工場の設備が壊れた場合。
事務所の什器や書類を大量に処分する場合。
こうしたときに、誰に相談し、どのように処理するのかを事前に考えておくと安心です。

4. 中小企業が特に気をつけたいこと

中小企業がまず行うべきことは、難しい条文を読み込むことではありません。
まずは、「自社から何が出ているか」を確認することです。

特に、次のようなものがないか見てみましょう。

  • 金属くず
  • プラスチックくず
  • 木くず
  • 古い機械
  • 使わなくなった設備
  • 使用済み部品
  • 電線や配線
  • 廃材や端材
  • パソコン、プリンター、什器
  • 有価物として売却しているもの

次に、それらを誰に渡しているかを確認します。

廃棄物処理業者に渡しているのか。
スクラップ業者に渡しているのか。
リサイクル業者に渡しているのか。
昔からの回収業者に任せているのか。

相手先が適切な許可を持っているか、契約書があるか、記録が残っているかを確認しておくとよいでしょう。

また、現場での保管状況も大切です。

屋外に長期間置いたままになっていないか。
雨ざらしになっていないか。
油や汚れが流れ出すおそれはないか。
火災の原因になりそうなものはないか。
通路や避難経路をふさいでいないか。

これらは、法令対応だけでなく、安全や環境の管理にもつながります。
ISO 14001やISO 45001に取り組んでいる会社であれば、環境側面やリスク管理の見直しにも役立ちます。

5. 業種別に見る、確認したいポイント

業種確認したいこと
製造業金属の端材、プラスチックの端材、不良品、古い治具、使わない部品などを整理しましょう。廃棄物として処分しているのか、有価物として売却しているのかを確認することが大切です。
建設業解体・改修工事で出る金属くず、木くず、がれき、配線、設備機器などについて、元請、下請、処理業者の誰が管理するのかを確認しましょう。契約書、マニフェスト、許可証の確認も重要です。
リサイクル関連企業使用済みの金属やプラスチックを保管・再生している場合、今後の許可制や基準の内容を確認する必要があります。施行日や細かい要件は、今後の政令や行政資料を確認しましょう。
オフィス中心の会社パソコン、プリンター、机、棚、古い設備などを処分することがあります。頻度が少なくても、どの業者に渡したか、記録が残っているかを確認しましょう。
倉庫・物流業破損品、返品品、梱包材、パレット、古いラックなどが出ることがあります。処分先や保管場所があいまいになっていないか確認しましょう。

6. 社内で確認したいチェックリスト

今回の法改正をきっかけに、次の項目を確認してみましょう。

確認項目内容
① 自社から出るものを一覧にする廃棄物だけでなく、有価物として売っているものも含めて整理します。
② 渡し先を確認する処理業者、スクラップ業者、リサイクル業者、回収業者など、誰に渡しているかを確認します。
③ 契約書を確認する廃棄物の処理委託契約や、有価物の売買契約などがあるか確認します。
④ 許可証を確認する廃棄物処理業者に委託している場合、許可の内容が自社の廃棄物に合っているか確認します。
⑤ マニフェストや記録を確認するマニフェストとは、産業廃棄物がどこに運ばれ、どう処理されたかを確認する伝票です。必要な場合に正しく運用できているか確認します。
⑥ 現場の保管状況を確認する長期間の放置、雨ざらし、火災のおそれ、油や汚れの流出がないかを確認します。
⑦ 有価物の扱いを確認する「売っているから大丈夫」と決めつけず、保管方法や引渡し先を確認します。
⑧ 災害時の対応を考える災害で大量の廃棄物が出た場合、誰に相談し、どこに一時保管するかを考えておきます。
⑨ 担当部署を決める総務、製造、環境、安全衛生、購買、ISO事務局など、中心となる部署を決めておくと対応しやすくなります。
⑩ 施行時期を確認する改正内容によって施行時期が異なるため、詳細は今後の政令や行政資料で確認します。

7. まとめ:法改正をきっかけに、廃棄物管理と委託先管理を見直しましょう

今回の廃掃法等改正では、スクラップヤードへの規制強化と、災害廃棄物処理体制の強化が大きなポイントです。

使用済みの金属やプラスチックを保管・再生する事業者には、今後、許可制や保管・再生の基準への対応が求められる可能性があります。

また、スクラップヤードを運営していない会社でも、金属くず、プラスチックくず、古い設備、使用済み部品、廃材などを外部に渡している場合は、無関係とは言い切れません。

中小企業がまず行うとよいのは、難しい法律用語を覚えることではありません。
自社から何が出ているのか、誰に渡しているのか、記録は残っているのかを確認することです。

「有価物だから大丈夫」
「昔から同じ業者だから大丈夫」
「少量だから関係ない」

このような思い込みがないか、一度見直してみましょう。

廃棄物管理は、環境法令への対応だけでなく、近隣トラブルの防止、火災予防、労働安全衛生、ISOマネジメントにも関係します。
今回の法改正をきっかけに、廃棄物や有価物の管理、委託先管理、現場の保管状況を確認しておくと安心です。

なお、本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。
実際に自社が対象になるかどうか、どのような手続きが必要かは、事業内容、取扱物、保管方法、委託先、自治体の運用などによって異なります。
個別の判断については、環境省や自治体の資料を確認したうえで、必要に応じて専門家にご相談ください。

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