環境側面評価表を開くと、「電力使用」「廃棄物の発生」「排水」「化学物質の使用」などが並んでいることが多いと思います。どれも大切な項目です。
では、次のような自社の仕事は、評価表に入っているでしょうか。
- お客様が少ない電力で使える製品を設計している
- 修理しやすく、長く使える製品を提供している
- 使用後に分解・リサイクルしやすい構造にしている
- お客様のペーパーレス化やエネルギー効率化を支援するサービスを提供している
こうした製品やサービスにも、環境負荷を減らす方向の関わりがあります。
今回は、このような関わりを「プラスの環境側面」と呼び、自社でどう見つけ、評価表にどう記録すればよいかを具体例で整理します。
1. プラスの環境側面とは?有益な環境影響との関係
この記事では、有益な環境影響につながる、自社の活動・製品・サービスの要素を、分かりやすく「プラスの環境側面」と呼びます。例えば、製品の省エネ性能や、修理しやすい構造などです。
「プラスの環境側面」は説明用の呼び方です
ISO14001では、環境影響に有害な変化と有益な変化の両方が含まれます。「プラスの環境側面」は、これを説明しやすくするための呼び方であり、独立した規格用語ではありません。ISO 14001:2026の公開用語情報
有益な変化を含める考え方は以前からあり、2026年版で初めて加わったものでもありません。ISOの公開用語情報でも、ISO14001:2015に由来する環境影響の定義に、有害・有益の両方が含まれています。ISOの公開用語情報(ISO14001:2015の定義を引用)
まずは、これまでの環境側面の整理で、有益な方向の関わりを見落としていないか確認すると考えてください。
環境側面と環境影響を分けて考える
省エネ製品を例に整理すると、次のようになります。
| 整理するもの | 省エネ製品の場合 |
|---|---|
| 活動・製品・サービス | 省エネ型製品の設計・提供 |
| 環境側面 | 製品使用時のエネルギー効率 |
| 有益な環境影響 | 同じ機能を提供する際のエネルギー消費や、それに伴う温室効果ガス排出の低減 |
| 管理策(管理・改善の取り組み) | 性能の確認、設計の見直し、適切な使用方法の案内 |
環境側面は「何が環境に関わるか」、環境影響は「その結果、環境がどう変わるか」です。
評価表に「CO2削減」とだけ書くと、どの製品の何がその効果につながるのかが分かりにくくなります。製品の特徴と、そこから期待する変化を分けて書きましょう。
用語の違いは、第3回「環境側面・環境影響・管理策の違い」で詳しく説明しています。
2. 具体例|製品・サービスのどこに見つかる?
次の表は、自社の業務を確認するための例です。実際に有益な効果が生じるかは、仕様、使われ方、回収・処理方法などによって変わります。
| 活動・製品・サービス | 環境側面の例 | 期待される有益な環境影響 | 確認したいこと |
|---|---|---|---|
| 省エネ型設備の設計・提供 | 使用時のエネルギー効率 | 顧客使用段階のエネルギー消費・温室効果ガス排出の低減 | 同じ機能・運転条件で比較しているか |
| 長く使える製品の設計 | 耐久性、修理しやすい構造 | 買い替えに伴う資源使用・廃棄物発生の低減 | 交換部品の供給など、長く使える条件が整っているか |
| リサイクルを考慮した設計 | 分解しやすさ、材料の分離しやすさ | 資源回収の促進、最終処分量の低減 | 回収先で分解・再資源化できるか |
| 再生材を使う製品の製造 | 再生材料の使用 | 新たに採取する資源の使用低減 | 再生材の割合、品質、加工時の追加負荷はどうか |
| 保守・修理サービス | 製品寿命を延ばす保守・修理 | 新品への交換や廃棄に伴う負荷の低減 | 修理後も必要な性能を保てるか |
| 繰り返し使う容器の提供・回収 | 容器の再使用 | 使い捨て容器の資源使用・廃棄物発生の低減 | 再使用回数、回収輸送、洗浄の負荷はどうか |
| 業務支援ソフトの提供 | 紙使用を減らす電子化機能、設備のエネルギー使用を最適化する機能 | 顧客の紙使用・廃棄物・エネルギー消費の低減 | 機能が使われる条件と、削減の前提は何か |
温室効果ガスは、CO2など、地球温暖化に関わるガスの総称です。資料では「GHG」と略されることもあります。
環境関連製品という名前で販売していなくても、修理、保守、包装の工夫、在庫管理などに候補が見つかることがあります。
例えば、在庫管理を支援するサービスなら、過剰発注や期限切れによる廃棄を減らせる可能性があります。どの仕組みが、何の使用や廃棄を減らすのかまで確認すると、環境との関わりが見えてきます。
3. 節電や分別も、プラスの環境側面になる?
「環境によい取り組みなら、全部プラスの環境側面にすればよいのでしょうか」
ここは迷いやすいところです。
このシリーズでは、節電や分別を、まず既存の環境側面に対する管理策として整理しています。
| 活動 | 環境側面 | 関連する環境影響 | 管理策の例 |
|---|---|---|---|
| 設備の運転 | 電力使用 | 資源消費、発電に伴う温室効果ガス排出 | 不要時の停止、省エネ設備への更新 |
| 作業・製造 | 廃棄物の発生 | 処理に伴う環境負荷、資源の損失 | 発生抑制、分別、再使用、リサイクル |
管理策によって環境負荷を減らせても、それだけを理由に、同じ内容の「プラスの環境側面」を別行で増やす必要はありません。既存の行に、改善内容や効果を記録する方法もあります。
一方、省エネ性能や修理しやすい構造など、製品・サービスに備わる特徴は、その製品・サービスの環境側面として確認できます。
また、有益な影響が生じる場所は、顧客側に限りません。例えば、敷地内で、その土地の生態系に適した生息環境を回復する活動も候補になります。
分類の名前を増やすことより、自社のどの活動・製品・サービスが、どのような環境の変化につながるのかを説明できることが大切です。
4. 見つけ方|他部門への3つの質問と、実務の手がかり
環境担当者だけで評価表を眺めていても、製品やサービスの特徴は見つかりにくいものです。設計、営業、製造、保守などの部門に、次の3つを聞いてみましょう。
質問1:同じ仕事を、少ない資源やエネルギーでできる?
- 従来品より、少ない電力や水で使えますか
- 紙、原材料、消耗品を減らせますか
- 不良品や廃棄を減らす機能がありますか
比較するときは、処理量、性能、運転時間などの条件をそろえます。単に小型化したため消費電力が少ない場合などは、提供する機能の違いも確認しましょう。
質問2:長く使う、修理する、共有することを支えられる?
- 壊れた部分を交換できますか
- 修理部品を供給できますか
- 再使用やシェアリングによって、新たな製品の購入を減らせますか
修理件数や利用者数は、効果を考える手がかりになります。ただし、その数だけで資源使用がどれだけ減ったかが確定するわけではありません。
質問3:使い終わった後の回収・再資源化を助けられる?
- 分解や材料の分離がしやすいですか
- 材質を識別できる表示がありますか
- 回収先や再資源化の経路が用意されていますか
「リサイクルできる設計」と「実際にリサイクルされること」は分けて確認します。
製品が使われる前後にも目を向ける
こうした確認には、ライフサイクルの視点が役立ちます。原材料の取得から、設計、製造、輸送・配送、使用、使用後の処理、最終処分まで、製品の一生を考える視点です。ISO 14001:2026の公開用語情報
JISCは、ISO14001:2026の改訂について、環境マネジメントシステムの適用範囲を決める際に、ライフサイクルの視点を取り入れる必要性が強調されたと説明しています。JISC「ISO 14001について」
自社の設計は直接管理しやすい一方、顧客の使い方には、仕様や使用方法の案内などを通じて働きかけることになります。自社で管理できることと、影響を及ぼせることを意識して確認しましょう。
手がかり①:お客様からの要請を確認する
最近、お客様からカーボンフットプリントの計算や情報提供、製品の消費電力の低減を求められていないでしょうか。
カーボンフットプリント(CFP)は、製品・サービスのライフサイクルを通じた温室効果ガス排出量を、CO2に換算して示すものです。環境省「カーボンフットプリント全般」
こうした要請には、お客様がScope3などの排出量を把握したいという背景もあります。Scope3は、企業の直接排出や購入電力などに伴う排出以外の、サプライチェーンで生じる間接的な排出です。
ただし、どのScopeに当たるかは、誰の排出量を見るかで変わります。
| 見る場面 | 整理の例 |
|---|---|
| 顧客が購入した電力を使う | 顧客にとってはScope2 |
| 自社が販売した電力使用製品を顧客が使う | 自社にとってはScope3のカテゴリ11「販売した製品の使用」に関係 |
| 顧客が原材料・部品・サービスを購入する | 顧客のScope3のカテゴリ1「購入した製品・サービス」に関係 |
| 顧客が設備などの資本財を購入する | 顧客のScope3のカテゴリ2「資本財」に関係 |
CFP情報を企業の排出量算定に利用する場合も、算定範囲や区分の確認が必要です。環境省「サプライチェーン排出量全般」、「Scope3排出量とは」
また、ペーパーレス化、シェアリング、エネルギー効率化を支援するソフトやサービスを提供している会社もあると思います。
現場では、これらを製品機能や顧客対応として捉え、環境側面とは意識していないことがあります。製品・サービスを扱う部門に、次のように聞いてみてください。
- お客様の資源使用やエネルギー消費を減らせる製品・サービスはありますか
- その効果を説明できる仕様、試験結果、計算資料はありますか
なお、CFPを計算すること自体と、環境負荷が減ることは別です。計算結果をもとに、どの設計や業務が改善されているかまで確認します。
手がかり②:LCAの結果から、設計の取り組みを聞く
私自身、LCAの結果が改善していることをきっかけに、設計部署と「継続的に環境負荷を減らす取り組みをしているのではないか」という会話をし、有益な環境影響につながる環境側面に気づいたことがあります。
LCAは「ライフサイクルアセスメント」の略で、製品などの一生を通じた環境負荷や影響を評価する方法です。温室効果ガスを対象とするCFPに対し、LCAでは、目的に応じて複数の環境影響を扱います。
結果を見るだけでなく、「何を変えたために改善したのか」を聞くと、材料、構造、性能などの工夫が分かります。
環境担当者は、社内の製品・サービスと、各部門がどのような業務を行っているかを、できる範囲で把握していきましょう。部署との会話が、評価表の見落としを見つけるきっかけになります。
5. 評価表への書き方|活動・環境側面・環境影響を分ける
「環境にやさしい製品」「CO2削減」といった表現だけでは、評価の対象が曖昧になります。
活動・製品・サービス、その環境側面、期待する環境影響を分けて書いてみましょう。
| 大まかな表現 | 活動・製品・サービス | 環境側面 | 期待する環境影響 |
|---|---|---|---|
| 省エネ製品 | 省エネ型設備の設計・提供 | 使用時のエネルギー効率 | 同等機能での電力使用・温室効果ガス排出の低減 |
| 長寿命化 | 修理可能な製品の設計・保守 | 耐久性、部品交換のしやすさ | 買い替えに伴う資源使用・廃棄物発生の低減 |
| リサイクル促進 | 分解しやすい製品の設計 | 材料の分離しやすさ | 使用後の資源回収の促進 |
| ペーパーレス | 電子承認サービスの提供 | 紙を使わずに処理できる機能 | 顧客の紙使用・廃棄物発生の低減 |
記録例:省エネ型製品の設計・提供
以下は、書き方を説明するための架空の例です。
| 記録項目 | 記載例 |
|---|---|
| 活動・製品・サービス | 製品Xの設計・提供 |
| 関係する段階 | 設計、顧客による使用 |
| 環境側面 | 製品使用時のエネルギー効率 |
| 期待する有益な環境影響 | 同じ処理量における電力使用の低減。それに伴う温室効果ガス排出の低減 |
| 比較対象・条件 | 従来品と製品Xを、同じ処理量・年間運転時間で比較 |
| 根拠資料 | 設計上の消費電力計算、仕様書 |
| 効果の見積もり | 従来品は年間1,000kWh、製品Xは800kWh。計算上は年間200kWh、20%の電力使用低減 |
| 前提・限界 | 設定した使用条件での計算値。顧客の実測値ではなく、実際の効果は使い方によって変わる |
| 評価時に確認すること | 1台当たりの効果、対象台数、使用期間、効果が生じる条件 |
| 管理策 | 計算根拠の確認、必要に応じた性能試験、設計変更時の見直し、使用方法の案内 |
| 関連する有害な側面 | 製造時の電力・材料使用などを、関連する評価項目で管理 |
この「20%」は、設定した条件における電力使用の比較です。製品のライフサイクル全体の環境負荷や、温室効果ガス排出量が20%減るという意味ではありません。
自社の様式に専用欄がなければ、根拠資料や前提条件を備考欄に記載する方法もあります。
6. 評価のポイント|効果の大きさと根拠を確認する
有益な影響につながるからといって、自動的に「著しい環境側面」になるわけではありません。
ISO14001:2026の環境側面に関する用語の注記でも、著しい環境側面を、組織が設定した基準を用いて決定する考え方が示されています。ISO 14001:2026の公開用語情報
自社の評価基準に沿って、次の点を確認しましょう。
| 観点 | 確認すること |
|---|---|
| 効果の大きさ | 何の使用や排出が、どれくらい減ると見込めるか |
| 頻度・量・可能性 | どれくらいの頻度・数量で使われるか。効果が生じる条件は何か |
| 広がり・継続性 | どの範囲で、どれくらいの期間、効果が続くか |
| 根拠 | 計算、試験、実績など、何に基づいているか |
| 管理・働きかけ | 自社が性能を維持したり、適切な使い方を促したりできるか |
第5回の評価例である「A:環境影響の大きさ」「B:頻度・量・可能性」「C:広がり・継続性」も、こうした確認に使えます。点数付けの方法は、第5回「環境側面評価の点数付け・3段階評価・しきい値」を参照してください。
販売台数と、効果が実際に生じた台数は同じとは限りません。機能が使われているか、どのような条件で使われているかも確認します。
また、売上増加や顧客満足は事業上のメリットです。環境効果とは分けて整理すると、評価の理由を説明しやすくなります。
設計上の計算値は、どう扱う?
設計段階では、効果が理論値や計算値になることがあります。顧客の実際の使用状況を、すべて測定できるとは限りません。
私の実務上の考えとしては、設計段階の評価では、根拠のある計算値を使うことは割り切ってよいと思います。
その際は、次を分かるようにしておきます。
- 何と比較した計算か
- 機能、処理量、使用時間などの条件は何か
- どの資料・計算方法を使ったか
- 計算値なのか、試験値なのか、実測値なのか
これは、社内の環境側面評価を進めるための私の考えです。計算値を使えば、どのような主張でも裏付けられるという意味ではありません。実測値や新しい情報が得られた場合は、前提や評価を見直しましょう。
重要と判断した項目は、性能の維持・改善や環境目標を検討する材料にします。すべてを新しい目標にする必要はなく、既存の設計・保守の管理策とのつながりも確認します。
7. 見落とさないための3つの注意点
① 有益な影響があっても、有害な影響は残る
省エネ製品でも、製造時には電力や材料を使い、使用後には廃棄物が発生します。ペーパーレスサービスにも、端末やサーバーの電力使用があります。
有益な特徴を評価表に加えるときも、関連する有害な側面を落とさないようにしましょう。
また、有益な側面の点数を有害な側面から差し引いて、法令対応や必要な管理策を省くような扱いは避けます。
② 一部分の改善を、全体の改善と決めつけない
使用時の電力が減っても、製造時の材料使用が増える場合があります。繰り返し使う容器も、回収輸送や洗浄の負荷を確認する必要があります。
どの段階の、どの環境影響が改善したのかを明確にしましょう。
LCAの結果を比較する場合も、計算条件やデータの変更による差なのか、製品・工程の改善による差なのかを確認します。
③ 社内評価と、社外への環境表示を区別する
社内の評価表に、前提を明示して期待効果を記録することと、広告などで環境効果を示すことでは、確認すべき内容が異なります。
社外に「環境にやさしい」「CO2を削減」と表示する場合は、対象、比較条件、根拠を読者が理解できるようにする必要があります。
環境省の「環境表示ガイドライン」は、2026年3月改定版で、曖昧な表現を避けること、説明を添えること、ライフサイクルを考慮すること、検証に必要な情報を確認できること、適切に比較することを基本項目として示しています。環境省「環境表示ガイドライン」
例えば「電力使用20%低減」と表示するなら、比較対象、運転条件、計算・測定の方法が分かる説明を用意しましょう。
8. 明日からの進め方|まず1件、整理してみる
最初から全製品・全サービスを詳しく調べようとすると、作業が大きくなります。まずは、お客様から省エネ性能やCFP情報を求められている製品など、確認しやすいものを1件選びましょう。
- 担当部門に聞く
資源使用やエネルギー消費を減らす特徴があるか確認します。 - 活動・環境側面・環境影響を分ける
どの特徴が、どの変化につながるのかを書きます。 - 根拠と前提を確認する
仕様書、設計計算、試験結果、LCA資料などを確認します。 - 既存の評価基準で評価する
効果の大きさ、頻度・量・可能性、広がり・継続性などを見ます。 - 管理策につなげる
設計変更時の確認、性能の維持、使い方の案内などと結び付けます。
候補が見つからなければ、項目数を増やすために無理に作る必要はありません。確認した範囲や判断理由を残しておくと、製品・サービスが変わったときに見直しやすくなります。
9. プラスの環境側面を確認するチェックリスト
見つけるとき
- ☐ 設計・営業・保守など、製品やサービスを扱う部門に確認した
- ☐ 省エネ、長寿命化、修理、再使用、再資源化につながる特徴を確認した
- ☐ 顧客への効果だけでなく、自社の活動による有益な変化も確認した
- ☐ 顧客要請やLCA資料を手がかりに、具体的な取り組みを聞いた
記録するとき
- ☐ 活動・製品・サービス、環境側面、環境影響を分けて書いた
- ☐ 比較対象、使用条件、対象範囲を明確にした
- ☐ 計算値・試験値・実測値を区別した
- ☐ 根拠資料を確認できるようにした
評価・管理するとき
- ☐ 自社の基準に沿って、効果の大きさや継続性を評価した
- ☐ 製造・輸送・使用後など、他の段階の負荷も確認した
- ☐ 関連する有害な側面を評価表から落としていない
- ☐ 性能や前提が変わった場合の見直しにつながっている
10. よくある質問
Q1. プラスの環境側面を、必ず1件以上挙げる必要がありますか?
「プラスの項目を何件作るか」を目的にする必要はありません。有益な影響も含め、自社の活動・製品・サービスとの関わりを確認してください。候補が見つからない場合は、無理に項目を作るより、確認範囲や判断理由を整理しておくとよいでしょう。
Q2. サービス業でも見つかりますか?
はい。保守・修理、電子化、シェアリング、在庫管理、エネルギー効率化の支援などに候補があります。「どの機能や業務が、何の使用・排出・廃棄を減らすのか」を確認します。
Q3. CFPを計算していれば、プラスの環境側面になりますか?
計算していることだけで、環境負荷が減るとは限りません。第4章で説明したように、結果を受けて、どの設計や活動が改善されているかまで確認します。
Q4. 効果が計算値だけでも、評価できますか?
設計段階では、計算値を使って検討する場面があります。第6章のとおり、比較対象、条件、方法を明確にし、実測値と区別して扱うことが大切です。
Q5. 効果を数値にできない場合は、どうしますか?
具体的な事実に基づいて整理します。例えば、交換できる部品、分離できる材料、回収経路、対象となる製品・顧客の範囲などです。大きな効果があると評価する場合は、その判断理由を説明できるようにしましょう。
Q6. 開発中の製品も候補になりますか?
計画中・開発中の活動や製品についても、想定される環境との関わりを検討できます。ただし、見込みと実績を区別し、開発の進展や仕様変更に合わせて見直します。
Q7. 「機会」と同じ意味ですか?
同じ意味ではありません。例えば、省エネ性能という環境側面を把握した結果、「その性能をさらに改善する」という機会につながることがあります。一方、環境側面以外の事業環境や関係者の要望などから、機会を見いだすこともあります。
11. 注意したい法令・公的情報
以下の制度情報は、2026年10月4日時点で確認したものです。自社への適用は、製品、事業内容、取扱量などに応じて確認してください。
ISO14001とJIS
ISO14001:2026は2026年4月に発行され、対応するJIS Q 14001:2026も改正されています。規格の正式な要求事項は、使用する規格票で確認してください。ISOの規格情報、JISC「ISO 14001について」
本記事の記録例や、計算値に関する筆者の考えは、実務上の整理方法を示したものです。
再生材・環境配慮設計
2026年4月1日施行の改正資源有効利用促進法では、指定製品を扱う一定の製造事業者等に再生材利用に関する計画提出等を求める仕組みや、環境配慮設計の認定制度が設けられています。
すべての企業に同じ義務があるわけではなく、対象製品・事業者の要件や手続の開始時期も確認が必要です。再生材利用やリサイクル設計を評価する際は、環境上の効果と、該当する法令上の義務を分けて確認しましょう。環境省「改正資源有効利用促進法の施行に向けた関係法令の整備について」
製品回収・再資源化
使用済み製品を回収する場合は、廃棄物に該当するか、収集運搬・処分に必要な許可等は何かを別途確認します。
製造事業者等による広域的な処理には、広域認定制度などの特例もあります。ただし、認定された範囲や条件に沿う必要があります。環境省「広域認定制度」
環境表示
環境表示ガイドラインは、法令そのものではありません。自社の環境表示を適切に行うための指針として参照します。
一般消費者向けの広告・商品表示などでは、景品表示法との関係にも注意してください。社内評価で使った見込み値を、そのまま実績として社外表示しないようにしましょう。環境省「環境表示ガイドライン」
12. 自社の仕事を、環境との関わりから見直してみよう
プラスの環境側面を見つけるには、自社の製品・サービスや各部門の仕事を知ることが役立ちます。お客様からの要請、設計資料、保守の工夫など、普段の業務に手がかりがあります。
まずは1件、担当部門と話してみてください。「何をしているか」「どの特徴が環境に関わるか」「どのような変化につながるか」を分けて書くと、評価表への記録と、その後の管理につなげやすくなります。

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