*BODとは、生物化学的酸素要求量(Biochemical Oxygen Demand)の略称で、水中の有機物が微生物によって分解される際に消費される酸素の量を示す指標です。水質汚濁の度合いを測る尺度として広く用いられています。
はじめに|環境側面の「粒度」で迷っていませんか
ISO14001を運用していると、多くの担当者が一度は悩むことがあります。
それは、「環境側面をどこまで細かく洗い出せばよいのか」という問題です。
特に、食品工場、給食施設、飲食関連の事業所など、排水管理が重要な現場では、次のような整理を見かけることがあります。
| 区分 | 記載例 |
|---|---|
| 環境側面 | 食品残渣の水切り不足 |
| 環境影響 | 排水のBOD濃度上昇 |
| 管理策 | 水切りの徹底 |
現場感覚としては、決しておかしな問題意識ではありません。
食品残渣の水切りが不十分であれば、排水のBOD濃度が上がる可能性があります。だからこそ、「水切り不足」を重要な問題として扱いたくなるのは自然です。
しかし、ISO14001の体系に沿って考えると、ここには少し注意が必要です。
「食品残渣の水切り不足」は、環境側面そのものというより、排水を管理するための作業上の管理ポイント、または管理が不十分な状態に近いものです。
規格の考え方に沿って整理すると、基本は次のようになります。
| 区分 | 記載例 |
|---|---|
| 環境側面 | 排水 |
| 環境影響 | BOD濃度の上昇、水質汚濁、公共用水域等への負荷 |
| 著しい環境側面 | 評価の結果、重要と判断された排水 |
| 管理策 | 食品残渣の水切り、油分除去、排水処理設備の点検、定期測定など |
この記事では、ISO14001の「環境側面」「環境影響」「著しい環境側面」「管理策」の関係を、排水とBODの例を使って整理します。
環境側面評価表を初めて作る方、審査で指摘を受けた方、既存の一覧表を見直したい方は、ぜひ参考にしてください。
1. 環境側面とは何か|「活動と環境の接点」として考える
ISO14001における環境側面とは、組織の活動・製品・サービスの中で、環境と相互に作用する、または作用する可能性のある要素のことです。
少し難しく聞こえますが、実務では次のように考えるとわかりやすくなります。
環境側面とは、会社の活動と環境との接点です。
例えば、次のようなものがあります。
| 活動 | 環境側面の例 |
|---|---|
| 製造する | 電力使用、原材料使用、排水、排気、廃棄物発生 |
| 洗浄する | 水使用、洗浄排水、洗剤使用 |
| 配送する | 燃料使用、排気ガス、騒音 |
| 食品を加工する | 食品残渣の発生、排水、臭気 |
| 事務作業をする | 電力使用、紙使用、廃棄物発生 |
ここで押さえておきたい大切なポイントがあります。
それは、環境側面は「活動・製品・サービスの要素」であり、「作業ミス」や「管理不足」そのものではないということです。
「食品残渣の水切り不足」を環境側面として書きたくなるのは、現場の問題意識が強いからです。
しかし、ISO14001の体系で考えると、「水切り不足」は排水という環境側面を管理するための作業上のポイント、または管理策が十分に機能していない状態として扱う方が自然です。
2. 環境影響とは何か|「側面の結果」として考える
環境影響とは、環境側面によって生じる環境の変化です。
例えば、排水を環境側面とした場合、その結果として次のような環境影響が考えられます。
- BOD濃度の上昇
- COD濃度の上昇
- pH異常
- 油分の流出
- 水質汚濁
- 下水道や公共用水域への負荷
- 法令基準超過のリスク
- 近隣や行政からの苦情・指導
整理すると、次のような関係になります。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 環境側面 | 排水 |
| 環境影響 | BOD上昇、水質汚濁、法令基準超過のリスク |
排水は、会社の活動から環境へ出ていく要素です。
一方、BOD上昇は、その排水によって生じる可能性のある環境変化です。
つまり、排水は環境側面、BOD上昇は環境影響と整理するのが基本です。
この二つを混同すると、環境側面評価表全体の論理がわかりにくくなってしまいます。
3. 著しい環境側面は「評価の結果」として決まる
著しい環境側面とは、洗い出した環境側面を評価し、組織にとって重要と判断したものです。
ここで重要なのは、著しい環境側面は最初から決まっているものではなく、評価の結果として決まるという点です。
排水が著しい環境側面になりやすいのは、例えば次のような条件がある場合です。
- 水質汚濁防止法、下水道法、自治体条例などの規制が関係する
- BOD、COD、SS、pH、油分などの基準管理が必要である
- 基準を超過した場合の環境影響や社会的影響が大きい
- 過去に異常値、苦情、行政指導、設備トラブルがあった
- 日常作業のばらつきによって水質が変動しやすい
この流れを表にすると、次のようになります。
| 項目 | 整理例 |
|---|---|
| 環境側面 | 排水 |
| 環境影響 | BOD上昇、水質汚濁、法令基準超過のリスク |
| 評価結果 | 法規制との関連が強く、影響の大きさと管理の必要性が高い |
| 著しい環境側面 | 排水 |
ここで大切なのは、「食品残渣の水切り不足」を著しい環境側面として評価するのではない、ということです。
まず「排水」を環境側面として特定します。
次に、BOD上昇や水質汚濁などの環境影響を評価します。
その結果、排水を著しい環境側面として管理対象にします。
そして、管理策として食品残渣の水切りを位置づけます。
この流れが、ISO14001の体系に沿った整理です。
4. 原因レベルを環境側面に入れると何が起きるか
では、「食品残渣の水切り不足」のような作業不備を環境側面に入れると、どのような問題が起きるのでしょうか。
主な問題は、次の3つです。
4-1. 環境側面と管理策の境界があいまいになる
次の整理を見てください。
| 区分 | 記載例 |
|---|---|
| 環境側面 | 食品残渣の水切り不足 |
| 環境影響 | BOD上昇 |
| 管理策 | 水切りの徹底 |
一見すると、わかりやすいように見えます。
しかし、「水切り不足」と「水切りの徹底」は表裏一体です。
つまり、環境側面として書いているものが、そのまま管理すべき作業状態になっています。
このような整理をすると、環境側面評価表が「活動と環境の接点を整理する表」ではなく、「不具合リスト」や「注意事項リスト」に近づいてしまいます。
ISO14001でまず整理すべきなのは、会社の活動が環境とどのように関わっているかです。
そのうえで、重要な側面に対して管理策を決めます。
この順序を崩さないことが大切です。
4-2. 一覧表が細かくなりすぎる
排水のBOD上昇には、さまざまな原因があります。
例えば、次のようなものです。
- 食品残渣の水切り不足
- 油分の流入
- 洗浄手順のばらつき
- グリストラップの清掃不足
- 薬品注入量の不適切
- 排水処理槽の能力不足
- 繁忙期の排水負荷増加
- 新製品製造による排水性状の変化
これらをすべて環境側面として並べると、環境側面一覧表は際限なく細かくなります。
細かく書くこと自体が悪いわけではありません。
しかし、原因レベルの作業状態まで環境側面に入れ始めると、「どこまで洗い出せばよいのか」の基準があいまいになります。
その結果、次のような問題が起きやすくなります。
- 評価基準が一貫しない
- 毎年の見直しが大変になる
- 現場担当者が理解しにくくなる
- 本当に重要な環境側面が見えにくくなる
- 管理策と環境側面の区別がつかなくなる
実務では、環境側面は「管理対象がわかる粒度」で整理し、原因レベルの内容は管理策、手順書、チェックリストで扱う方が運用しやすくなります。
4-3. 不適合の原因と環境側面を混同しやすくなる
例えば、排水のBOD値が一時的に高くなったとします。
原因を調べたところ、「食品残渣の水切りが不十分だった」とわかりました。
このときに問うべき本質は何でしょうか。
それは、排水という著しい環境側面に対する運用管理が十分に機能していなかったということです。
是正処置として確認すべきことは、例えば次のような点です。
- 水切り手順は明確だったか
- 作業者に教育されていたか
- チェック方法はあったか
- 繁忙時でも守れる手順だったか
- 管理基準や確認頻度は適切だったか
- BOD上昇の兆候を把握できていたか
- 異常時の対応手順は決まっていたか
これは、環境側面の洗い出し不足というより、運用管理、教育、監視、手順の不備として扱う方が自然です。
もちろん、「排水」という環境側面そのものが一覧表に入っていなかったのであれば、それは環境側面の洗い出し不足です。
しかし、排水が環境側面として特定され、BODが環境影響として評価され、法規制との関係も把握されているのであれば、「食品残渣の水切り不足を環境側面に入れていなかったから不適切」とまでは言い切れません。
むしろ、管理策への落とし込みが十分だったかを確認する方が、ISO14001の体系に沿っています。
5. 排水とBODの例|適切な整理と避けたい整理
ここで、排水とBODを例に、適切な整理と避けたい整理を比較してみます。
適切な整理例
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 活動 | 食品加工、調理、洗浄 |
| 環境側面 | 排水 |
| 環境影響 | BOD濃度上昇、水質汚濁、下水道・公共用水域への負荷 |
| 関連する順守義務 | 水質汚濁防止法、下水道法、自治体条例、排水協定など |
| 評価の視点 | 法規制、影響の大きさ、発生可能性、過去の異常、利害関係者の関心 |
| 著しい環境側面 | 排水 |
| 管理策 | 食品残渣の水切り、油分除去、グリストラップ清掃、排水処理設備点検、水質測定、教育 |
| 監視・測定 | BOD、COD、SS、pH、油分などの測定、日常点検 |
| 記録 | 水質測定記録、清掃記録、点検記録、教育記録、異常時対応記録 |
この整理では、環境側面、環境影響、評価、管理策が一本の流れでつながっています。
審査時にも、「なぜ排水を著しい環境側面としているのか」「BOD上昇をどう管理しているのか」を説明しやすくなります。
避けたい整理例
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 環境側面 | 食品残渣の水切り不足 |
| 環境影響 | BOD濃度上昇 |
| 管理策 | 水切りを徹底する |
この整理が、必ず不適合になるという意味ではありません。
しかし、ISO14001の体系としては、やや違和感があります。
「食品残渣の水切り不足」は、排水管理上の原因・リスク要因です。環境側面として扱うよりも、管理策、作業標準、チェックリスト、教育内容の中で扱う方が整理しやすくなります。
6. 審査での指摘をどう受け止めるか
ISO14001の審査では、環境側面の洗い出しについて、次のような指摘や助言が出ることがあります。
- 「環境側面の粒度が粗い」
- 「BOD上昇の原因が側面に反映されていない」
- 「食品残渣の水切り不足も側面として考えた方がよい」
- 「排水だけでは現場の実態が見えにくい」
- 「現場の作業実態が環境側面評価に反映されていない」
これらの言葉を、そのまま「環境側面一覧表をもっと細かくすべき」と受け取ると、かえって混乱することがあります。
審査員が本当に確認したいのは、環境側面一覧表にどの言葉が書かれているかだけではありません。
むしろ、次の点を確認しています。
- 重要な環境影響が見落とされていないか
- 法規制に関わる側面が適切に評価されているか
- 評価結果が運用管理につながっているか
- 現場の作業実態が管理策に反映されているか
- 異常や不具合の原因が再発防止に活かされているか
「水切り不足が側面に入っていない」という指摘も、実際には「排水管理の具体策が弱い」「BOD上昇の原因管理が不十分」という意味であることがあります。
そのため、担当者がまず確認すべきなのは、環境側面一覧表を細かくすることではありません。
著しい環境側面としての排水に対して、BODを管理する具体策が十分か。
この視点で確認することが大切です。
7. 実務で使える整理手順|5ステップで確認する
環境側面評価表を作成・見直しする際は、次の5ステップで進めると整理しやすくなります。
ステップ1:活動を書き出す
まず、部門や工程ごとに活動を書き出します。
例:
- 原材料受入
- 食品加工
- 調理
- 容器洗浄
- 床洗浄
- 排水処理
- 廃棄物保管
- 出荷
- 事務作業
いきなり環境側面を書こうとすると抜け漏れが出やすくなります。
まずは、会社で行っている活動を工程単位で整理することが出発点です。
ステップ2:活動ごとの環境側面を書く
次に、それぞれの活動から「環境に出入りするもの」「環境と関わるもの」を書き出します。
| 活動 | 環境側面 |
|---|---|
| 食品加工 | 食品残渣の発生 |
| 調理・洗浄 | 排水 |
| 床洗浄 | 洗浄排水、洗剤使用 |
| 排水処理 | 汚泥の発生、電力使用 |
| 廃棄物保管 | 悪臭、廃棄物の保管 |
| 事務作業 | 電力使用、紙使用 |
ここでは、「水切り不足」「清掃忘れ」「点検漏れ」のような不備ではなく、活動と環境との接点を整理します。
ステップ3:環境影響を書く
次に、環境側面ごとに「その結果として生じる環境変化」を書きます。
| 環境側面 | 環境影響 |
|---|---|
| 排水 | BOD上昇、水質汚濁、法令基準超過のリスク |
| 食品残渣の発生 | 廃棄物量の増加、悪臭、処理委託量の増加 |
| 洗剤使用 | 水質への負荷、化学物質使用量の増加 |
| 電力使用 | CO2排出、エネルギー資源の消費 |
| 環境配慮製品の提供 | 使用時の省エネ、廃棄物削減、長寿命化 |
環境影響は、マイナスの影響だけではありません。
省エネ製品、リサイクル設計、長寿命化、環境配慮サービスなど、環境に良い影響を与える可能性も含めて考えると、より実効性のあるEMSになります。
ステップ4:評価して著しい環境側面を決める
環境側面と環境影響を整理したら、自社の評価基準に基づいて重要度を判断します。
評価の視点としては、次のようなものがあります。
- 法規制・条例・協定との関係
- 環境影響の大きさ
- 発生頻度または発生可能性
- 過去の事故・苦情・異常
- 利害関係者の関心
- 管理できる程度
- 改善による効果
排水が法規制や自治体基準に関係し、BODなどの基準管理が必要であれば、著しい環境側面として扱う可能性が高くなります。
ただし、最終判断は自社の評価基準と実態に基づいて行います。
ステップ5:管理策に原因レベルを落とし込む
著しい環境側面が決まったら、次に管理策を設定します。
ここで初めて、原因レベルの作業管理が登場します。
排水に対する管理策の例は、次のとおりです。
- 食品残渣の水切り
- 油分除去
- グリストラップの定期清掃
- 排水処理設備の点検
- pH、BOD、COD、SS、油分などの測定
- 異常時対応手順の整備
- 作業者への教育
- チェックリストによる日常確認
- 新製品・新工程導入時の排水負荷確認
この流れを一文でまとめると、次のようになります。
排水を環境側面として特定し、BOD上昇や水質汚濁を環境影響として評価する。その結果、排水を著しい環境側面と判断した場合、食品残渣の水切りなどを管理策として設定する。
この整理であれば、ISO14001の体系にも、現場の実務にもつながりやすくなります。
8. 環境側面評価表の記録例
実務では、次のような表にすると、環境側面、環境影響、管理策が混ざりにくくなります。
| 活動 | 環境側面 | 環境影響 | 順守義務 | 評価結果 | 管理策 | 記録 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 食品加工・洗浄 | 排水 | BOD上昇、水質汚濁、基準超過リスク | 水質汚濁防止法、下水道法、条例、協定等 | 著しい | 食品残渣の水切り、油分除去、設備点検、水質測定 | 水質測定記録、点検記録、清掃記録、教育記録 |
| 食品加工 | 食品残渣の発生 | 廃棄物量増加、悪臭 | 廃棄物処理法、自治体ルール等 | 必要に応じて評価 | 分別、保管、委託処理、減量化 | 廃棄物管理票、保管点検記録 |
| 床・設備洗浄 | 洗剤使用 | 水質負荷、化学物質使用 | SDS、PRTR、条例等の該当確認 | 必要に応じて評価 | 使用量管理、代替品検討、教育 | 使用量記録、SDS管理 |
このように整理すると、審査時にも説明しやすくなります。
「排水を重要な環境側面として見ている」ことと、「食品残渣の水切りを管理策として管理している」ことが、表の中で明確になるためです。
9. 審査での説明例
審査で「食品残渣の水切り不足は環境側面に入れないのですか」と聞かれた場合は、次のように説明すると論理が伝わりやすくなります。
当社では、環境側面を活動・製品・サービスと環境との接点として整理しています。食品加工・洗浄工程では「排水」を環境側面とし、BOD上昇や水質汚濁、基準超過リスクを環境影響として評価しています。評価の結果、排水を著しい環境側面として管理対象にしています。食品残渣の水切りは、BOD上昇を防ぐための具体的な運用管理策として、作業手順、教育、点検記録の中で管理しています。
この説明であれば、「水切りを無視している」のではなく、「水切りを管理策として適切に位置づけている」ことが伝わります。
審査で重要なのは、環境側面一覧表の言葉を細かくすることだけではありません。
環境側面、環境影響、評価結果、管理策が一貫してつながっていることを説明できるかが大切です。
10. 確認チェックリスト
自社の環境側面評価表を見直す際は、次のチェックリストを活用してください。
環境側面の整理
- 環境側面は、活動・製品・サービスの要素として書かれているか
- 「作業ミス」「管理不足」「点検漏れ」だけを環境側面にしていないか
- 排水、排気、廃棄物、エネルギー使用、化学物質使用などの接点が抜けていないか
- プラスの環境影響をもたらす側面も検討しているか
- 購入、製造、使用、廃棄、委託先など、ライフサイクルの視点を必要に応じて考慮しているか
環境影響の整理
- 側面の結果として生じる環境変化を書いているか
- BOD、COD、CO2、廃棄物量、騒音、悪臭など、測定・管理できる項目を意識しているか
- 法令基準超過のリスクを影響として考慮しているか
- 苦情、行政指導、地域への影響も必要に応じて考慮しているか
著しい環境側面の評価
- 法規制・条例・協定との関係を評価しているか
- 影響の大きさと発生可能性を見ているか
- 過去の異常、苦情、事故、ヒヤリハットを反映しているか
- 評価基準が毎年一貫して使えるものになっているか
- 著しい環境側面の決定理由を説明できるか
管理策
- 著しい環境側面ごとに管理策があるか
- 原因レベルの作業不備を、手順・教育・点検・記録で扱っているか
- 管理策が現場で実行できる内容になっているか
- 異常時の対応手順が決まっているか
- 新設備・新製品・工程変更時に見直す仕組みがあるか
よくある質問
Q1. 「食品残渣の水切り不足」は絶対に環境側面にしてはいけないのですか?
絶対に禁止というわけではありません。
ただし、ISO14001の体系に沿って整理するなら、「排水」を環境側面、「BOD上昇」を環境影響、「食品残渣の水切り」を管理策として扱う方が、論理的に一貫しています。
「水切り不足」は、排水管理上の原因・リスク要因として、手順書、チェックリスト、教育、点検記録の中で扱うと整理しやすくなります。
Q2. 排水が環境側面で、BODが環境影響という理解でよいですか?
はい、基本的にはその理解でよいです。
排水は、会社の活動から環境へ出ていく要素です。BOD上昇は、その排水によって生じる可能性のある水質への影響です。
そのため、排水を環境側面、BOD上昇を環境影響として整理すると、評価表の論理が明確になります。
Q3. BODが法規制に関係する場合、著しい環境側面になりますか?
著しい環境側面になる可能性は高いです。
ただし、最終判断は自社の評価基準と実態に基づいて行います。
法令、自治体基準、排水協定などの適用は、地域、業種、排水先、施設の種類によって異なります。必ず最新の公的情報や所管行政の情報を確認してください。
Q4. 審査員から「水切り不足を側面に入れるべき」と言われたらどう対応すればよいですか?
まず、審査員の意図を確認することが大切です。
多くの場合、問題にされているのは「水切り不足という言葉が環境側面一覧表にないこと」ではなく、「BOD上昇を防ぐ管理策が機能しているか」です。
排水を著しい環境側面として評価し、水切りを管理策として手順、教育、点検、記録に落とし込んでいるのであれば、その体系を説明できるようにしておきましょう。
Q5. 環境側面は細かく書くほどよいのですか?
細かければよい、というものではありません。
大切なのは、管理対象が明確で、環境影響と管理策につながっていることです。
「排水」だけでは現場の実態が伝わりにくい場合は、活動欄や備考欄に「食品加工・洗浄工程からの排水」「食品残渣や油分を含む可能性あり」などと補足するとよいでしょう。
原因レベルの作業不備をすべて環境側面に並べるよりも、活動、側面、影響、管理策の役割を分けることが重要です。
Q6. プラスの環境側面も入れる必要がありますか?
ISO14001では、環境側面をマイナスの影響だけに限定して考えるものではありません。
省エネ製品の提供、リサイクルしやすい設計、長寿命化、環境配慮サービスなど、環境に良い影響をもたらす活動も環境側面として考えることができます。
環境負荷を減らす活動だけでなく、環境価値を高める活動にも目を向けると、EMSの改善につながりやすくなります。
まとめ|「側面は活動、原因は管理策」が整理の基本
ISO14001の環境側面評価では、用語を正しく分けることが大切です。
排水とBODの例で整理すると、次のようになります。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| 環境側面 | 排水 |
| 環境影響 | BOD上昇、水質汚濁、法令基準超過のリスク |
| 著しい環境側面 | 評価の結果、重要と判断された排水 |
| 管理策 | 食品残渣の水切り、油分除去、設備点検、水質測定、教育 |
「食品残渣の水切り不足」は、環境側面そのものではなく、排水管理上の原因レベルのリスク要因です。
これを環境側面として無理に入れるよりも、排水を環境側面として評価し、著しい環境側面と判断したうえで、水切りを管理策として明確にする方が、ISO14001の体系に沿っています。
審査で問われるのは、言葉の細かさではありません。
重要な環境側面を見落とさず、環境影響を評価し、現場で実行できる管理策につなげているか。
この論理の一貫性が大切です。
まずは自社の環境側面評価表を開き、「側面」「影響」「管理策」が混在していないかを確認してみてください。
そこから、より使いやすく、説明しやすいISO14001の運用に近づけることができます。
法令に関する注意事項
排水・BODに関する法令や基準には、水質汚濁防止法、下水道法、浄化槽法、自治体条例、排水協定などが関係する場合があります。
ただし、適用される内容は、地域、業種、排水先、施設の種類、排水量などによって異なります。
本記事は一般的な考え方を整理したものです。個別の判断については、環境省、自治体、下水道管理者、認証機関、専門家などの最新情報を確認してください。

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